CONCEPT — NOCODE
ノーコードとは:ローコードとの違いと、現場アプリの選び方
ノーコードとは、プログラムのコードを書かずに、画面の操作だけで業務アプリやフォームを作るやり方のことです。現場で自分たちの台帳や申請をアプリにしたい担当者向けに、ローコードとの違い、向く事務作業と向かない事務作業、選ぶ前に確かめる3つを書きます。
ノーコードとは、ローコードとの違い
ノーコードとは、プログラムのコードを書かずに、画面の操作だけで業務アプリやフォームを作るやり方のことです。部品を置いて、項目名と選択肢を決め、保存すれば、入力画面と一覧ができます。
ローコードは、同じように画面操作で土台を作り、足りないところへ計算式やAPI、短いコードを足すやり方です。現場の担当だけで完結させるというより、現場と、式や接続を直せる人が並んで作ります。コードから全部を書く開発は、画面の部品では足りない独自の計算や、基幹とのつなぎに使います。
製品の宣伝では境界が重なります。ノーコードを掲げる製品にも計算式があり、ローコードの製品でも画面操作だけで作れる範囲があります。選ぶときの問いは「今作れるか」より、「詰まったとき、画面の設定で止めるか、コードを書ける人が越えるか」です。
作りたい業務アプリを1行で書いて送れば、ノーコードで足りるかを一緒に見ます。
- 作りたい業務アプリを1行で書いて、ノーコードで足りるか聞く → 作りたいことと、つなぐ先の名前を1行で送ります
向く事務作業、向かない事務作業
向き不向きは、ツールの名前より、今の事務の形で決まります。手元の作業を1つ選んで、次に当てはまるかを見ます。
- 向く:出張の精算を、日付・区間・金額の項目で申請し、上長が承認する。顧客ごとの問い合わせを、受付日・内容・担当・状態の4項目で残す。備品の貸出を、品名・借りた人・返した日で残す。入力する項目が週ごとに増えず、承認の順番が決まっている作業です。
- 向かない:請求金額を、契約書の特例と為替と値引きの例外から毎回手で組み立てる。在庫の引当を、複数倉庫と予約とキャンセルが同じ日に入り乱れる前提で計算する。つなぐ先の列名が取引先ごとに月次で変わる。画面の部品と、決まった選択肢では足りない作業です。
説明用の仮想例です。総務が、出張精算をメール添付のExcelで集め、上長の返信を印刷してファイルに綴じている。項目は日付・区間・金額・目的の4つで、承認者は所属長だけ。これはノーコードの申請アプリに載せやすい作業です。一方、経理が、取引先ごとの特別単価と、途中で変わる為替を見ながら請求額を組み立てている作業は、例外の分岐が画面の部品を超えます。後者はローコードか、開発の対象です。
1人の試算や、一度きりの集計は、アプリにせずExcelのまま残します。残す表と移す表の切り分けは、kintoneとExcelの記事に分けて書いています。
- kintoneとExcelの使い分け → 同時に書く人数・履歴・承認で残すか移すかを分ける
- 属人化とは → 手順と判断が特定の人にしか残っていない状態
選ぶ前に確かめる3つ
画面のきれいさや、作る速さの前に、次の3つを公式のヘルプや設定画面で開いて確かめます。
- データの持ち出し方:一覧をCSVなどで出せるか、出る列と出ない列があるか、出したファイルを誰が受け取れるかを見ます。出せないと、やめるときに台帳が製品の中に残ります。
- 権限:見る人、書く人、消す人、設定を変える人を分けられるかを見ます。全員が同じ権限だと、消えた行の理由を追えません。
- 作った人が辞めたとき:項目の追加、承認の順番、通知の条件を、作った人以外が画面で直せるかを見ます。作れても直せないと、そのアプリは個人の道具です。
製品の例は、公式ページで確認した範囲です。サイボウズのkintoneは、プログラミングなしで業務アプリを作り、レコード単位でデータを持ち、アクセス権とプロセス管理をアプリに載せられます。スタンダードコース以上でREST APIとプラグインが使えます。出典は公式の「kintoneとは」と料金・FAQです。Microsoft の Power Apps は、画面操作で業務アプリを作り、必要なら開発者がコネクタやコードで広げる製品です。出典は Microsoft Learn の概要です。
つなぐ先が会計や顧客管理など複数あり、画面の設定だけでは届かないときは、連携の置き方を別に見ます。
作る人と、つなぐデータの多さで置く場所を決める
冒頭の図は、横軸を作る人、縦軸をつなぐデータの多さにした4区画です。ツールの名前を先に置かず、今の作業を区画に落とします。
- 現場が1人で、つなぐ先がその表だけのとき:Excelのまま残します。試算、下書き、一度きりの集計です。
- 現場が作り、台帳や申請などつなぐデータが増えるとき:ノーコードです。入力項目と承認の流れが週ごとに増えなければ、ここに置きます。
- 現場と、式やAPIを直せる人が並び、会計や顧客管理の一部とつなぐとき:ローコードです。コードを直す人の名前を、作る前に1人書きます。
- 開発者が作り、基幹や独自の計算とつなぐとき:開発です。画面の部品で足りないと分かった作業だけを、ここに上げます。
同じ会社の中で、4区画が混ざるのが普通です。出張精算はノーコード、請求の特例計算は開発、展示会の試算はExcel、という分け方です。全部を一つの製品に載せない。最初の1作業を区画に落としたら、その区画の道具だけを見ます。最初の1作業の切り分けを短時間で見たいときは、TOC分析 5万円(2時間)から始められます。
- TOC分析 5万円を問い合わせる → 作りたい1作業を、4区画のどこに置くかを2時間で切り分けます
作ったアプリが属人化しない残し方
現場が自分で作れることは速さです。速さのまま放置すると、作った人の画面にしか、項目の意味と権限が残りません。
- アプリ台帳を1枚作る:アプリ名、何の作業か、項目名、書く人、見る人、消してよい人、承認の順番、データを出す手順を、会社の共有フォルダの同じ1枚に書きます。
- 設定を変えてよい人を2人にする:作った人だけが設定を触れる状態は、辞めた日に止まります。もう1人の名前を、公開した週に書きます。
- 四半期に1回、使っていないアプリを止める:最終更新日が90日空いたアプリは、止めるか残すかを持ち主が決めます。残すなら、台帳の1行を更新します。
説明用の仮想例です。営業事務が問い合わせ管理アプリを作り、選択肢の「緊急」と「急ぎ」の違いを本人だけが知っている。本人が異動した翌週、現場はまた共有Excelに戻りました。公開した日に、項目の意味と、設定を変えてよい2人を1枚に書いていれば、次の担当が同じアプリを直せます。
作り方の判断を、担当者の画面から会社の台帳へ残す
「この項目は数字だけ」「この状態は上長が押す」「データを出すときはこのボタン」が、作った人の画面操作の記憶にだけあると、会社にはアプリの殻しか残りません。
アプリを1つ公開するたびに、先のアプリ台帳へ1行足します。個人のブラウザのブックマークや、個人のメモには書かない。次の作業をアプリにするときは、その1枚を開いて、前回の項目名と権限と、データを出した日を見てから作ります。数字で決める進め方は、データドリブンの記事に分けています。
- データドリブンとは → 最初の1つの判断から始める進め方
- スプレッドシートをデータベース代わりにしているとき → シートの役割が台帳を超えたときの限界
よくある質問
Q. ノーコードとローコードの違いは何ですか?
ノーコードは、コードを書かずに画面操作でアプリを作ります。ローコードは、画面操作を基本にしつつ、足りないところへ式やAPI、コードを足します。実務で効く違いは、詰まったときに画面の設定で止まるか、コードを書ける人が越えられるかです。
Q. どんな事務作業が向きますか?
入力項目と承認の流れが決まっている台帳や申請です。出張精算、問い合わせの対応履歴、備品の貸出が典型です。請求の特例計算や、つなぐ先の列名が毎月変わる処理は向きません。
Q. 作った人が辞めたら、アプリはどうなりますか?
項目の意味と権限と、設定を変えてよい人が会社の1枚に残っていれば、次の担当が同じ画面で直せます。残っていなければ、現場は共有の表に戻ります。公開した週に、設定を変えてよい人を2人書きます。
Q. データは後から取り出せますか?
製品によって出せる列が違います。選ぶ前に、一覧をCSVなどで出せるか、出る列、受け取る人を公式のヘルプか設定画面で確かめます。出せない製品は、やめるときに台帳が中に残ります。
Q. ノーコードのメリットとデメリットは何ですか?
メリットは、入力項目と承認の流れが決まっている台帳や申請を、現場が画面操作で作れることです。出張精算や問い合わせの対応履歴が典型です。デメリットは、請求の特例計算やつなぐ先の列名が毎月変わる処理には足りないこと、作った人しか直せないと属人化することです。選ぶ前に、データを出せるか、権限を分けられるか、作った人以外が直せるかを確かめます。
Q. Excelのままで足りるときはありますか?
あります。1人が試算や下書きをする表、一度きりの集計は、アプリにせずExcelのまま残します。同時に書く人数、履歴、承認の3つに当たる作業から、アプリの候補にします。
作りたい業務アプリを1行で書いて相談する
作りたいことと、今使っている表の列名を書いて送ってください。ノーコードで足りるか、Excelのまま残すかをお返しします。最初の1作業を決めるTOC分析は5万円(2時間)です。続けてアプリの置き方を整える支援は、範囲と体制で変わるため個別にお見積りします(概算です。詳細はお見積りで)。