CONCEPT — DATA DRIVEN

データドリブンとは:最初の1つの判断から始める

数字・KPI・集計 sento.group 編集部 · · 約6分

判断を1つ決める、要る数字を3つ書く、数字の出どころをたどる、毎週同じ時刻に見る、の4つの流れを示した図
図:最初の1つの判断から、毎週同じ時刻に同じ数字を見ます。

データドリブンとは、勘や経験だけで決めず、手元の数字を根拠にして判断し、その結果を次の行動に使う進め方のことです。「データドリブンにしろ」と言われたが、何から手を付けるか分からない管理職向けに、今週の会議で決めていることを1つ書き、その数字がどのファイルから何分で作られているかを測るところまで落とします。

データドリブンとは何か

データドリブンとは、勘や経験だけで決めず、手元の数字を根拠にして判断し、その結果を次の行動に使う進め方のことです。英語の data-driven をそのまま使った言葉で、データドリブン経営、データドリブンマーケティングのように、判断の場の名前を後ろに付けて使われます。

数字が無い会社はほとんどありません。週次の会議に、売上、見込、在庫、残業の数字は出ている。それでも「データドリブンにしろ」と言われるのは、その数字で何を決めたかが残っていないからです。声の大きい人の感想で今週の重点が決まり、来週には同じ議論が繰り返されます。

毎週の会議で決めていることを1つ書いて送れば、どの数字を見ればよいかを一緒に見ます。

少人数の会社で先に起きること

少人数の会社でデータドリブンが進まない理由は、分析人材がいないことより先に、数字を作る時間が見えないことにあります。

  • 会議の前に数字を作る:担当が月曜の朝、3つのExcelを開いて転記し、スライドに貼る。判断は10分、数字作りは40分、ということが続きます。
  • 同じ言葉で数字が違う:営業の「売上」は受注日、経理の「売上」は計上日。会議の冒頭が「どっちが正しいか」で終わります。
  • 道具から入る:見る画面を先に増やすと、誰がいつ何を決めるかが空のまま、数字の一覧だけが残ります。

説明用の仮想例です。従業員18人の卸売で、毎週月曜の営業会議は「今週どの見込を追うか」を決める場です。数字は担当が日曜夜に案件表を開き、最終接触日が空の行を手で拾って作っています。この会社に要るのは、新しい画面ではありません。その1つの判断に要る数字を、会議の前に同じ場所で開けることです。

部署ごとに同じ言葉の数字がずれるときは、定義のずれを先に1行で書きます。数字の運用を会社の仕事として回す話は、データオペレーションの記事に分けています。

今週やれる4つの手順

道具を選ぶ前に、今週の会議で次の4つを紙に書きます。画面の設計図は、まだ書きません。

  • 判断を1つ決める:今週の会議で決めていることを1行で書きます。「今週どの見込を追うか」「どの発注を今週出すか」「どの問い合わせを先に返すか」。決めていることが2つ以上ある週は、先に止めると困るほうを1つ残します。
  • 要る数字を3つ書く:その判断に必要な数字だけを3つまで書きます。見込を追う判断なら、見込の件数、最後に話した日、確度。見たいグラフの名前ではなく、決めるときに見る数字の名前です。
  • 数字の出どころをたどる:3つの数字が、どのファイルの、どの列から来ているかを書きます。ファイルが2つ以上なら、転記している順も書きます。
  • 毎週同じ時刻に見る:次の会議の日付と開始時刻をカレンダーに置き、その時刻に同じ3つの数字を開く、と書きます。見る場所は、今使っているExcelの1枚で構いません。

4つが紙に残ったら、その週の会議ではその3つの数字以外を議題の冒頭に出しません。感想は数字の後に話す。1つの判断が2週続けて同じ数字で決まったら、次の判断を1つ足します。最初から全社の数字を並べません。

説明用の仮想例の卸売で、数字で決めると次の3つが変わります。月曜の会議で「どっちが正しいか」に使っていた時間が、今週どの見込を追うかの判断に回ります。先週追うと決めた見込を、翌週も同じ3つの数字(見込の件数・最後に話した日・確度)で説明できます。日曜夜に案件表を開いていた担当が休んでも、共有フォルダの1枚から同じ数字が開けます。

数字の出どころと、作る時間を測る

3つの数字を書いたら、その週に1回だけ、作る時間を測ります。時計を見て、ファイルを開いた時刻と、会議資料に数字が並んだ時刻を書きます。

  • 開いたファイル名:案件表、請求一覧、問い合わせ票のように、実際のファイル名を書きます。
  • かかった分:転記、並べ替え、空欄を埋める、スライドに貼る、を分けて分で書きます。
  • 空欄の数:3つの数字のうち、空だった行や列の数を書きます。空が多い数字は、会議で使えません。

説明用の仮想例です。見込の件数は案件表の行数を数えて5分。最後に話した日は、担当がメールを思い出して20分。確度は口頭でその場で言っているので、事前の作成時間は0分、会議では毎回言い直しています。この測り方だと、先に直すのは「最後に話した日」を案件表の列に毎週入れることであって、新しい集計の画面ではありません。

作成に30分以上かかっている数字を、その週の宿題にします。宿題は「新しい道具を入れる」ではなく、「その数字を作るファイルの列を1つ決めて、会議の前日までに埋める」です。最初の1つの判断を短時間で切り分けたいときは、TOC分析 5万円(2時間)から始められます。

よくある失敗と、人・道具の置き方

よくある失敗は、道具から入ること、見る数字を増やすこと、分析ばかりして決まらないことです。少人数の会社では、次の形で現れます。

  • 画面を先に増やす:見る項目が増えると、会議の冒頭が「どこを見るか」で終わります。判断が1つに絞れるまで、画面は足しません。
  • 数字を10個出す:10個あると、都合のよい行だけが話されます。3つに戻します。
  • 空欄のまま議論する:空の行を口頭で埋めると、翌週に同じ空欄が残ります。空の数字は、その週の議題から外し、列を埋める宿題にします。
  • 人を先に採る:分析だけする人を足す前に、判断する人と、数字の列を埋める人を今のメンバーから1人ずつ書きます。少人数では兼務で足ります。

経験や現場の感覚を捨てる必要はありません。捨てるのは、同じ会議で毎回違う根拠が出ることです。感覚は「仮説」として残し、3つの数字のどれで確かめるかを1行で書きます。ダッシュボードを先に作ると使われない話は、別の記事に分けています。

判断の記録を、担当者のメモから会社の台帳へ残す

「この数字は案件表の何列目」「空なら議題に出さない」が、担当のノートや個人のチャットにだけあると、その人が休んだ週から会議が元に戻ります。

判断の名前、要る数字3つ、出どころのファイル名、作るのにかかった分、毎週見る曜日と時刻を、会社の共有フォルダの同じ1枚に書きます。個人のパソコンのメモには残さない。翌週の会議の前に、その1枚を開いて、数字が埋まっているかだけを見ます。定義を変えた日は、誰が何を変えたかを1行足します。

台帳そのものをExcelから移す話や、現場アプリの置き方は、別の記事に分けています。

よくある質問

Q. データドリブンとは何ですか?

勘や経験だけで決めず、手元の数字を根拠にして判断し、その結果を次の行動に使う進め方です。画面を増やすことや、データを集めること自体を指す言葉ではありません。

Q. 何から始めればよいですか?

今週の会議で決めていることを1行で書き、その判断に要る数字を3つまでに絞り、どのファイルから何分かけて作っているかを測ります。同じ3つの数字を、毎週同じ時刻に開きます。

Q. BIツールやダッシュボードは必要ですか?

最初の1つの判断が、同じ3つの数字で2週続けて決まるまでは、今のExcelの1枚で足ります。画面を先に増やすと、誰がいつ何を決めるかが空のまま残ります。

Q. 少人数でもできますか。分析の専門家は要りますか?

できます。判断する人と、数字の列を埋める人を今のメンバーから1人ずつ書きます。分析だけする人を足すのは、3つの数字が毎週同じ時刻に埋まるようになってからです。

Q. 数字で決めると、何が良くなりますか?

月曜の会議で「どっちが正しいか」に使っていた時間が、今週どの見込を追うかの判断に回ります。先週の決定を、翌週も同じ3つの数字で説明できます。担当が休んでも、共有フォルダの1枚から同じ数字が開けます。

Q. 失敗しやすいのはどんなときですか?

見る画面や数字の個数から入るとき、空欄を口頭で埋めて終わるとき、判断の記録が担当者のメモにしか残っていないときです。空の数字は議題から外し、列を埋める宿題にします。

毎週の会議で決めていることを1つ書いて相談する

決めていることと、今見ている数字の名前を書いて送ってください。要る数字を3つまでに絞るところからお返しします。最初の1つの判断を決めるTOC分析は5万円(2時間)です。続けて数字の出どころを整える支援は、範囲と体制で変わるため個別にお見積りします(概算です。詳細はお見積りで)。

無料相談を予約する