CONCEPT — BPR

BPRとは?業務改善との違いと、進め方

業務設計・仕組み化 sento.group 編集部 · · 約6分

受注から請求までの今の7手順と、消した手順・まとめた手順に印を付けて作り直した4手順を左右に並べた図
図:今の7手順を、消す・まとめるの印を付けて4手順に作り直します(説明用の仮想例)。

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは、1つの業務の始まりから終わりまでの流れを書き出し、今の手順を前提にせず作り直すことです。転記や承認を少し速くするのではなく、その手順を残すか消すかから決めます。

BPRとは、1つの業務の流れを作り直すこと

BPRは Business Process Re-engineering の略で、読みはビーピーアールです。野村総合研究所の用語解説は、1993年にマイケル・ハマーとジェームス・チャンピーの共著『リエンジニアリング革命』で広まったと書いています。

読み手がやることは、全社の組織図を描き直すことではありません。受注から請求まで、問い合わせから一次回答まで、のように始まりと終わりがある1つの流れを紙に書き、今の手順を残す前提を外して作り直すことです。

三井住友フィナンシャルグループの解説は、部門ごとの分業が進むと、流れ全体では点検や転記が増える、と書いています。BPRはその流れを、顧客が待つ時間と社内が触る回数から見直します。

業務改善・DXとの違い

似た言葉と、手を付ける場所が違います。言葉を入れ替えて同じ作業をしないよう、先に見分けます。

  • 業務改善:今の手順は残し、転記の回数を減らす、待ちを短くする、入力欄を揃える、のように細部を直します。
  • BPR:今の手順を残す前提を外し、その手順をなくすか、隣の手順と一つにするか、別の人が別の順でやるかを決めます。
  • DX:デジタルで、売り方や届け方など事業の形を変えます。BPRで作り直した流れの上に、画面や連携を乗せることはあります。目的は事業の形であり、1業務の手順そのものではありません。

三井住友フィナンシャルグループの解説も、業務改善は細部、BPRは流れ全体、DXは目的が違う、と分けています。迷ったら「今の手順を残すか」で切ります。残すなら業務改善、残さないならBPRです。

1つの業務を選ぶ

最初に選ぶのは、全社の業務一覧ではありません。始まりの合図と終わりの状態を一文で言える流れを1つ選びます。

  • 選ぶ単位の例:受注メールが届いてから請求書を送るまで。問い合わせが来てから一次回答を出すまで。入荷してから検品表を閉じるまで。
  • 選ばない単位:経理業務、営業の効率化、全社のデジタル化。始まりと終わりが言えないものは、あとで止まります。
  • 書くもの:業務の名前、今かかっている月の時間、毎日その画面を開く人の名前。

説明用の仮想例では「受注から請求まで」を選びます。対象にする業務の名前が書けたら、その1行を送って相談できます。

今の手順をスイムレーンに書く

選んだ業務の今のやり方を、担当ごとの横帯(スイムレーン)に、実際に触っている画面の名前で書きます。あるべき姿はまだ書きません。

  • 帯を分ける:営業、事務、経理のように、その流れに出る人の帯を横に並べます。
  • 手順を書く:受注メールを読む、受注表Excelに転記する、在庫表を別ファイルで開く、上長にチャットで承認を取る、出荷指示を手で書く、請求ソフトに打ち直す、入金を通帳と目視で照合する、のように7つ前後まで分解します。
  • 待ちと差し戻しに印を付ける:チャットの返信待ち、列名が違うための打ち直し、承認が返ってからのやり直し。

書き終わったら、毎日その画面を開く人に見せて直します。本人が「それはやっていない」と言う手順は消します。書いていない待ちは足します。記号の使い方は「業務フロー図の書き方」にまとめています。

各手順に判定を付ける

スイムレーンの各手順に、次の5つのうち1つを赤字で書きます。説明用の仮想例(受注から請求まで)で付け方を示します。

  • なくす:上長へのチャット承認。金額と納期が条件内なら、その手順を消します。
  • まとめる:受注表への転記と在庫表の確認を、同じ画面で見る1手順にします。出荷指示の手書きと請求ソフトへの打ち直しを、同じデータから出す1手順にします。
  • 順番を変える:入金の照合を、請求を出した直後ではなく、入金データが揃った日に移します。
  • 単純にする:入金の目視照合を、請求番号で並べた突合表の確認にします。
  • 作り直す:受注メールを開く手順は残しますが、メール本文から列へ手で移すやり方はやめ、受注を一つの画面で受けます。

判定が付いたら、右に作り直した流れを4手順で書き直します。冒頭の図は、この仮想例の今の7手順と作り直した4手順です。ECRSの4原則(なくす・まとめる・順番を変える・単純にする)は、今の手順を残す前提で使う見方です。BPRでは「作り直す」を足し、手順そのものを入れ替えます。

作り直した流れを1週間試す

図の右が書けたら、翌営業日から1週間、作り直した4手順だけで回します。今の7手順と並行して残すと、どちらが本物か分からなくなります。

  • 試す前に書く:止めたときの戻し方(今のExcelを残す場所)、毎日確認する件数、合格とみなす数字(例:転記の打ち直しが0件)。
  • 試すあいだに書く:待った回数、差し戻した回数、開けなかった画面の名前。担当の頭の中には残しません。
  • 1週間後に決める:4手順のまま本番にする、判定を1つ戻す、対象の業務を変える、のどれか。

試す1週間の記録を送れば、判定の戻し方と次の1業務の選び方を一緒に書けます。

うまく進むとき・止まるとき

流れを作り直すと、毎日の画面が変わるので、負担は先に出ます。止まる場所はだいたい決まっています。

  • 進む:対象の1業務と合格の数字が先に書いてある。今のスイムレーンを、毎日使う人に見せて直してある。決裁する人が最初の週から出ている。
  • 止まる:全社の組織を先に動かす。今の手順を書かずに「あるべき姿」だけ描く。試す週を置かず、翌月から全件を新しい流れに移す。
  • 負担:最初の2週間は、今のExcelと新しい画面を見比べる時間が増えます。その時間を、試す1週間の記録に分で残します。

三井住友フィナンシャルグループの解説は、三井住友コンシューマーファイナンスが2020年度にBPR推進部を置いた、と書いています。社内に推進の名前を置く場合も、最初に動かすのは1業務のスイムレーンです。

手法を使う場面

ERP、BPO、共有の間接部門(シェアードサービス)は、判定を付けたあとに選ぶ道具です。先に道具を決めると、今の手順がそのまま新しい画面に移ります。

  • ERP(基幹の統合システム):判定で「まとめる」「作り直す」が付いた手順が、同じデータから出るとき。今の転記を残したまま入れると、転記が画面の中に残ります。
  • BPO(業務の外部委託):判定で「なくす」ではなく「外の人がやる」と書いた手順。合格の数字と、戻ってきたデータの列名を先に書きます。
  • 共有の間接部門:グループ内の経理や人事を一つにまとめるとき。まとめる対象のスイムレーンを、会社ごとに書いてから重ねます。

道具の名前より、各手順の判定が先です。判定が空のまま見積を取ると、今の7手順がそのまま残ります。

判定と図を、担当者の頭から会社の台帳へ

スイムレーンと判定が担当者のノートやチャットにだけあると、次の四半期に同じ1業務を、別の人が一から書き直します。

今の図、作り直した図、各手順の判定、試した1週間の件数を、業務名のフォルダに日付を付けて置きます。次に別の業務を作り直すときは、前回の判定と残した手順を開いてから帯を引きます。担当が変わっても、同じフォルダから始められます。

よくある質問

Q. BPRとは何ですか?

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とは、1つの業務の始まりから終わりまでの流れを書き出し、今の手順を残す前提にせず作り直すことです。読みはビーピーアールです。

Q. BPRと業務改善の違いは何ですか?

業務改善は今の手順の細部を直すことです。BPRは、その手順をなくす・まとめる・作り直す、のように手順そのものを入れ替えます。「今の手順を残すか」で切ります。

Q. BPRは何から始めますか?

始まりと終わりを一文で言える業務を1つ選び、今の手順をスイムレーンに書き、各手順に判定を付けます。全社の組織図から入ると止まります。

Q. BPRの成功事例はありますか?

この記事では企業の成果数字は書いていません。三井住友フィナンシャルグループの解説ページが、三井住友コンシューマーファイナンスのBPR推進部(2020年度)に触れていることだけを、開いて確かめた範囲で載せています。自社で進めるときは、1業務のスイムレーンから始めます。

Q. BPRとECRSの違いは何ですか?

ECRSは今の手順を残す前提で、なくす・まとめる・順番を変える・単純にする、の順に見直します。BPRは手順そのものを作り直します。今の7手順を4手順に入れ替えるのがBPR、今の7手順の中を減らすのがECRSです。

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始まりと終わりが言える業務の名前と、今かかっている月の時間を送ってください。スイムレーンの書き方と、最初の判定の付け方をお返しします。

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