CONCEPT — ECRS

ECRSとは?業務改善の4原則を事務作業の例で

業務設計・仕組み化 sento.group 編集部 · · 約6分

排除・結合・交換・簡素化の4段の漏斗に、月末集計の作業カードが段ごとに減っていく図
図:月末集計の作業カードが、排除から簡素化まで段ごとに減ります(説明用の仮想例)。

ECRS(イクルス)とは、業務改善で排除・結合・交換・簡素化の順に見直す4つの原則のことです。製造の工程だけでなく、Excelの転記、月末の集計、承認の回覧、SaaS間のコピペにも、この順でカードを減らせます。

ECRSとは、今の作業を4つの順で減らす見方

ECRSは Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の頭文字です。TOMAコンサルタンツグループの解説は「イクルス」、カイゼンペンギンの解説は「イクルス」または「イーシーアールエス」と読んでいます。

読み手がやることは、4つの英単語を覚えることではありません。いま手元にある作業をカードに書き、上から排除、結合、交換、簡素化の順に印を付けることです。製造のラインだけでなく、経理の月末、営業事務の見積、問い合わせの一次回答でも使えます。

カイゼンペンギンの解説は、この並びが改善の効果の大きい順だ、と書いています。なくせる作業を先に消すと、あとでまとめる枚数が減ります。

なぜ排除→結合→交換→簡素化の順か

順番を逆にすると、あとで消す作業に型や道具を足すことになります。カードを減らす向きに、上から見ます。

  • 排除が先:受け手のいない報告、同じ数字の二重の清書は、まとめても残ります。先に消します。
  • 結合が次:残った似た作業を一つにします。消す前にまとめると、消す対象が隠れます。
  • 交換が次:残った作業の順番を入れ替えます。誤りの確認を集計の前に移す、のように、触る回数は同じでもやり直しが減ります。
  • 簡素化が最後:残った作業の打ち方を単純にします。型、参照、関数はここに置きます。

冒頭の図は、説明用の仮想例として、月末集計のカードが8枚から2枚まで減る様子です。段を飛ばすと、消したはずの週次転記が、清書の型の中に残ります。

排除:Excelの転記をやめる(説明用の仮想例)

排除は、その作業を残さずに止めることです。速くするのではありません。

  • 今(Before):毎朝、会計ソフトからCSVを出し、売上集計Excelに手で貼る。貼ったあと、同じ数字を週次報告スライドにも打ち直す。
  • あと(After):週次報告スライドへの打ち直しをやめます。会議では集計Excelの同じ表を画面共有します。CSVの貼り付けは、まだ残します。
  • 判定の書き方:カードに「週次スライドへの打ち直し/排除/会議では集計表を開く」と1行で残します。

転記のうち「同じ数字を別のファイルに見せるためだけに打つ」作業が、最初の候補です。貼り付けそのものを消すのは、結合と簡素化のあとでも間に合います。かけたい作業の今の手順が書ければ、排除の候補の見分け方を一緒に書けます。

結合:承認の回覧を1枚にする(説明用の仮想例)

結合は、別々の人が別々の場所でやっている似た作業を、同じ票に載せることです。

  • 今(Before):見積の変更を、営業がチャットで上長に送り、上長が経理に転送し、経理が別フォームに打ち直して承認する。金額は3つの画面に残ります。
  • あと(After):見積の変更を一つの承認票に書き、上長と経理が同じ票に印を付けます。打ち直しのフォームはやめます。
  • 判定の書き方:カードに「チャット転送と別フォーム/結合/承認票1枚」と残します。

結合の見分けは、同じ金額・同じ顧客名を、2つ以上の画面に手で移していることです。画面の数より、移している列名を数えます。

交換:月末集計の順番を入れ替える(説明用の仮想例)

交換は、作業の中身は残し、触る順番を変えることです。人を入れ替える場合もここに入れます。

  • 今(Before):月末に全部の明細を集めてから誤りを探す。欠けや重複が見つかると、科目の振り分けから集計し直す。
  • あと(After):週の終わりに明細の欠けと重複を直してから、月末に振り分けと合計だけをやります。月末のやり直しが減ります。
  • 判定の書き方:カードに「誤り探しを月末に一括/交換/週次で欠けを直す」と残します。

交換は枚数を減らさないことがあります。減らなくても、やり直す範囲が週1回の欠け確認までに縮まります。手順の前後を書き換えたカードを送れば、入れ替えの位置を一緒に選べます。

簡素化:SaaS間のコピペをやめて参照する(説明用の仮想例)

簡素化は、残った作業の打ち方を単純にすることです。新しい道具は、消す・まとめる・順番を変えたあとに足します。

  • 今(Before):顧客名を、問い合わせフォーム、顧客管理、請求ソフトの3画面に手で打つ。表記がずれ、月末に名寄せする。
  • あと(After):顧客名は顧客管理だけに打ち、問い合わせと請求は顧客番号で参照します。3画面への手打ちはやめます。
  • 判定の書き方:カードに「3画面への手打ち/簡素化/顧客番号で参照」と残します。

簡素化のあとに自動化を足すなら、残った2枚のカードだけを対象にします。転記の自動化は「GAS・定型業務自動化」で手段を選べます。

AIや自動化の前に、ECRSをかける理由

なくせる作業にAIや自動実行を乗せると、その作業が毎月の実行として残ります。カードを減らしてから乗せます。

  • 排除の前に自動化しない:週次スライドへの打ち直しを自動にすると、誰も開かないスライドが毎月増えます。
  • 結合の前にAIを入れない:3つの画面の顧客名をAIに揃えさせると、ずれの修正は速くなりますが、3画面への手打ちは残ります。
  • 簡素化のあとに乗せる:残った「週次で直した明細を集計する」作業に、関数や自動実行を足します。

先にECRSの印が付いているカードだけを、自動化やAIの候補にします。印が無い作業をチャットAIに頼むと、今の打ち直しがプロンプトの中に残ります。

BPRとの違い

ECRSは今の手順を残す前提で、カードを減らします。BPRは手順そのものを作り直し、帯の数も変えます。

  • ECRS:今の月末集計の8枚を、排除から簡素化まで見て2枚にする。帯(経理)は同じです。
  • BPR:受注から請求までの7手順を、4手順の別の流れに入れ替える。営業・事務・経理の帯の受け渡しも書き直します。

今のやり方を残して枚数を減らすならECRS、今のやり方をやめて別の流れにするならBPRです。同じ1業務に両方をかけるときは、ECRSで消せるカードを先に消し、残った流れをBPRで作り直します。

作業カードを、担当者の頭から会社の台帳へ

ECRSの判定が担当者のメモにだけあると、翌月の月末に同じ転記が戻ります。カードを表にして残します。

作業名、今の所要時間、E/C/R/Sのどれをかけたか、Beforeの手順、Afterの手順を、1行1作業で表に書きます。置き場所は、月末集計なら経理の共有フォルダ、見積の回覧なら営業の共有フォルダです。担当が変わっても、その表を開いて同じ順で印を付けられます。

よくある質問

Q. ECRSとは何ですか?読み方は?

ECRSとは、排除(Eliminate)・結合(Combine)・交換(Rearrange)・簡素化(Simplify)の順に、今の作業を見直す4つの原則です。TOMAコンサルタンツグループの解説は「イクルス」、カイゼンペンギンの解説は「イクルス」または「イーシーアールエス」と読んでいます。

Q. ECRSの4原則を短い言葉で言うと?

なくす、まとめる、順番を変える、単純にする、です。この順で見ます。なくせる作業を先に消すと、あとでまとめる枚数が減ります。

Q. 事務作業での具体例はありますか?

あります。この記事では説明用の仮想例として、Excelの転記の排除、承認回覧の結合、月末集計の順番の交換、SaaS間コピペの簡素化を、Before/Afterで書いています。製造ラインの例ではありません。

Q. ECRSとBPRの違いは何ですか?

ECRSは今の手順を残す前提でカードを減らします。BPRは手順そのものを作り直します。今のやり方をやめて別の流れにするならBPRの記事を見てください。

Q. AIを入れる前にECRSが必要な理由は?

なくせる転記や、受け手のいない報告を自動化すると、その作業が毎月残るためです。カードに排除の印を付けてから、残った作業だけを自動化やAIの対象にします。

ECRSをかけたい作業の手順を書いて送る

今の手順を上から順に書いて送ってください。排除から簡素化までの印の付け方と、残すカードの分け方をお返しします。

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