CONCEPT — 5W1H
5W1Hとは:6つの問いで聞く一文と、5W2Hとの違い、質問の表
5W1Hとは、いつ(When)・どこで(Where)・だれが(Who)・なにを(What)・なぜ(Why)・どのように(How)の6つの問いのことで、出来事や依頼を人に伝えるときと、人から聞き取るときに、要る情報がそろっているかを確かめるために使います。6つの問いを相談の一言に順に当てると、聞き忘れていた期限や担当がその場で分かります。この記事では、それぞれの問いで相手にそのまま聞ける一文と、聞き取った答えを残す表の列まで書きます。
5W1Hの6つの問いと、相手に聞く一文
冒頭の図は、説明用の仮想例として「請求書の発行を楽にしたい」という相談に6つの問いを当てたものです。それぞれの問いで何を聞くかと、そのまま使える一文を並べます。
- いつ(When):時期と期限を聞きます。「いつから困っていて、いつまでに変えたいですか」。月末だけ困るのか毎日困るのかも、ここで分かります。
- どこで(Where):場所・部署・ファイル・画面を聞きます。「どの部署の、どのファイルや画面で作っていますか」。Excelの名前やシステムの画面名まで聞くと、後で現物を見に行けます。
- だれが(Who):作業する人、確かめる人、受け取る人を聞きます。「だれが作り、だれが確かめて、だれに送っていますか」。1人の名前で終わらせず、受け渡しの相手まで聞きます。
- なにを(What):対象と量を聞きます。「月に何通の請求書で、どの欄を手で打っていますか」。書類の名前と欄の名前が出てくると、話の対象が1つに定まります。
- なぜ(Why):理由と目的を聞きます。「なぜ今、変えたいのですか。いちばん困っていることは何ですか」。担当の交代や取引先からの要望など、今動く理由が分かります。
- どのように(How):今の手順を聞きます。「今の手順を、最初の操作から送るまで順に教えてください」。手順を順番に話してもらうと、手で写している箇所が見つかります。
読み方は「ごダブリューいちエイチ」です。デジタル大辞泉では、物事を正確に伝えるための6つの要素で、when・where・who・what・why・how の頭文字から来た言葉と説明されています。英語圏では Five Ws(5つのW)と呼ぶことが多く、Wikipediaの「5W1H」の項目は、日本ではHowを足して5W1Hと呼び、「六何(りくか)の原則」とも呼ぶと書いています。
同じ項目は、英国の作家キップリングが1902年の『Just So Stories』に入れた詩で、What・Why・When・How・Where・Who を「6人の正直な召使い」にたとえた一節を紹介しています。新聞記事の最初の段落に入れる要素としても使われてきました。
来週、取引先や社内の人から聞き取りをする予定があれば、聞きたいことを6つ書いて送ってください。6つの問いのどれに当たるかを振り分け、抜けている問いと、そのまま使える一文をお返しします。
- 来週のヒアリングで聞きたいことを6つ書いて送り、5W1Hに振り分けてもらう → 例:「請求書の件数、使っているソフト、締め日、担当者、困りごと、今の手順」
- MECE(ミーシー)とは →
5W1Hの順番は、報告とヒアリングで変える
6つの問いに決まった順番はありません。同じ6つでも、話す相手と目的で並べ方を変えます。
- 上司や取引先への報告:なにを(結論)→なぜ→いつ・どこで・だれが→どのように、の順に話します。聞き手は最初の一文で、自分が何を判断すればよいかが分かります。例:「請求書の送り忘れが1件ありました(なにを)。締め日の変更が担当に伝わっていませんでした(なぜ)。」
- 依頼や相談のヒアリング:いつ→どこで→だれが→なにを、の事実から聞き、なぜ→どのように、を後に聞きます。相手は最初に答えやすい事実を話すうちに、困っている理由を言葉にしやすくなります。
- 予定の案内(会議・研修・作業の連絡):いつ→どこで→だれが→なにを、の4つを最初の2行に入れます。受け取った人は予定表に入れるのに要る情報を探さずに済みます。
- ミスや事故の記録:いつ→どこで→だれが→なにを(起きたこと)→どのように(起きた順番)→なぜ(原因)、の時系列で書きます。原因の「なぜ」は、事実をそろえた後で、別の手法で掘り下げます。
迷ったら、聞き手がその文を読んだあとに最初にする行動を考えます。判断する人には結論から、作業する人には期限と場所から書きます。
会議の議題・要件のヒアリング・ミスの振り返りで使う
5W1Hがよく使われる3つの場面で、何を書けば足りるかを説明用の仮想例で示します。
- 会議の議題:議題1つごとに「なにを決めるか」「なぜ今決めるか」「だれが決めるか」「いつまでに決めるか」を1行ずつ書きます。説明用の仮想例として「請求書の送付方法を、郵送からメールに切り替えるかを決める(なにを)。取引先3社から要望が来た(なぜ)。経理の課長が決める(だれが)。今月の締めの前まで(いつ)。」と書くと、会議の最後に決まったかどうかがはっきりします。
- 要件のヒアリング:システムやツールを作る前に、使う人(だれが)、使う場面(いつ・どこで)、扱うデータ(なにを)、作る理由(なぜ)、今の手順(どのように)を聞きます。説明用の仮想例では、「営業が外出先でスマホから(だれが・どこで)、訪問の直後に(いつ)、商談のメモを(なにを)入れたい」と聞けると、画面の大きさと入力の項目が決まります。
- ミスの振り返り:起きたことを5W1Hで1枚に書いてから、原因を探します。説明用の仮想例として「11月の締め日に(いつ)、経理の共有フォルダの請求書の一覧で(どこで)、担当のAさんが(だれが)、1社分の請求書を(なにを)出し忘れた。一覧の並べ替えで行が下に移り、見落とした(どのように)。」と書くと、人の注意の問題と一覧の作りの問題を分けて話せます。
3つの場面に共通するのは、6つの問いのうち答えが空いている欄が、そのまま次に聞くことになる点です。空いた欄を会議の宿題にすると、聞き漏らしたまま話が進むのを防げます。
5W2H・5W3H・6W2Hとの違い
5W1Hに問いを足した形がいくつかあります。足した問いは、費用・量・相手・選択肢のどれかです。解説によって中身が少しずつ違うので、使う前に社内で中身をそろえます。
- 5W2H:5W1Hに「いくら(How much)」を足したものです。費用や予算が決め手になる提案書や見積りの依頼で使います。
- 5W3H:5W2Hに「どれだけ(How many)」を足したものです。件数・人数・回数を聞きます。「月に何件の注文か」が分からないと、手作業で足りるかツールが要るかを決められない話で使います。
- 6W1H・6W2H:「だれに(Whom)」を足した形です。6W2Hは、さらに「いくら」も足します。営業の提案や広告のように、届ける相手が作業する人と違う話で使います。
- 7W2H:「どれを(Which)」も足した形です。複数の案から選ぶ話で使います。
- 5W1H1R:「どうなったか(Result)」を足した形です。報告や振り返りで、結果まで1枚に書くときに使います。
問いを増やすほど、1回の聞き取りで聞く数が増えます。最初は5W1Hの6つで聞き、相談の中身がお金の話なら「いくら」を、量の話なら「どれだけ」を足す、という順に増やすと、相手の答える手間が膨らみません。
聞き漏らしを防ぐ質問の表の列
5W1Hは、頭の中で唱えるより、表にして聞き取りの場に持っていくほうが聞き漏らしが減ります。ExcelやスプレッドシートやNotionで、1行に1つの質問を書き、次の列にします。
- 問い:いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように、のどれかを書きます。相談の中身に合わせて「いくら」「どれだけ」の行を足します。
- 聞く一文:その場で読み上げられる一文を書きます。「担当者は?」のような単語で終わらせず、「だれが作り、だれが確かめていますか」と書いておくと、聞く人が替わっても同じ答えが返ってきます。
- 答え:相手の言葉をそのまま書きます。聞き手が言い換えると、後で読んだ人が元の意味を取り違えます。
- 確かめる物:答えを裏付ける現物の名前を書きます。「請求書の一覧のExcel」「受注の画面」などです。後で現物を見せてもらう依頼に使います。
- 空いている理由:答えが出なかった問いに、「担当が不在」「相手も知らない」などの理由と、次にだれに聞くかを書きます。
表の行を6つ埋めたら、最後に「なぜ」の答えを読み返します。理由が「前からそうしているから」だけなら、その作業をやめられるかもしれないので、次の聞き取りで深く聞きます。
自社で使う質問の表を作りたい方は、次に聞き取る相手と、その人に聞きたいことを書いて送ってください。表の6行と聞く一文を、その相手向けに書いてお返しします。
- 次に聞き取る相手と聞きたいことを書いて送り、質問の表を作ってもらう → 例:「相手:経理の担当者。聞きたいこと:月末の締めで何に時間がかかっているか」
- 業務の棚卸しのやり方 →
5W1Hで足りない場面と、次に使う手法
5W1Hは、事実を集めて相手と同じ絵を見るための道具です。集めた後に何を決めるかで、次の手法を選びます。
- 原因が1つに決まらないミス:5W1Hで起きたことを書いた後、なぜなぜ分析で「なぜ」を繰り返し、手を打てる原因まで掘ります。
- 集めた答えが多くて整理できない:MECEの考え方で、答えを1つの基準(時期・部署・工程など)で分け、重なりと抜けを確かめます。
- 事業の次の打ち手を決めたい:集めた事実を、社内のこと(強み・弱み)と社外のこと(機会・脅威)に分けて、SWOT分析の4マスに置きます。
- 気持ちや好みの話:「なぜその画面が使いにくいと感じるか」のような感じ方の話は、6つの問いに分けにくい話です。実際に操作してもらい、手が止まった場所を見るほうが早く分かります。
聞き取りの順でいえば、5W1Hで漏れなく聞き取り、MECEで切り口をそろえ、SWOTで社内と社外に分ける、という流れになります。
聞き取りの答えを個人のメモに閉じず、共有の台帳の列に残す
5W1Hで聞き取った答えが、聞いた人のノートや個人のメモにだけあると、次に同じ相手から聞く人は同じ質問を繰り返します。sento.groupでは、聞き取りの答えを、会社の共有の台帳(スプレッドシートかNotionのデータベース)に、1回の聞き取りを1行として残してもらいます。
台帳の列は、日付・相手・いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように・確かめる物・空いている問い、の10列にします。6つの問いを列の名前にしておくと、空いているセルが一目で分かり、次の聞き取りでそこから聞けます。
生成AIで聞き取りの文字起こしを要約させる場合も、出力の形をこの10列に決めて頼みます。AIが埋めたセルは、聞いた本人が相手の言葉と照らして直してから台帳に入れます。AIへの頼み方の文面は、台帳の最初のシートに貼っておくと、ほかの人が同じ形で頼めます。
最初の一歩として、sento.groupのTOC分析 5万円(2時間)は、2時間で行う入口の診断です。直近の聞き取りのメモか文字起こしを1つ持ってきてください。2時間で、6つの問いのうち空いている欄と、業務の中でいちばん詰まっている作業と、台帳の列を決めます。
よくある質問
Q. 5W1Hの正しい順番はありますか?
決まった順番はありません。報告では結論にあたる「なにを」から、ヒアリングでは「いつ・どこで・だれが・なにを」の事実から聞くと、相手に伝わりやすく答えやすくなります。予定の案内では、いつ・どこで・だれが・なにをの4つを最初の2行に入れます。
Q. 5W1Hと5W2Hはどちらを使えばよいですか?
費用や予算が判断を左右する話なら、「いくら(How much)」を足した5W2Hを使います。社内の報告や連絡のように費用が関わらない話は5W1Hで足ります。件数や回数も大事なら、「どれだけ(How many)」も足した5W3Hにします。
Q. 6つの問いを全部埋めないといけませんか?
全部埋める必要はありません。相手も答えを知らない問いは、表の「空いている理由」の列に書いて、次にだれに聞くかを決めます。空いた欄を書き残しておくことが、聞き漏らしを防ぐことになります。
Q. 5W1Hはメールやチャットでも使えますか?
使えます。依頼のメールなら、最初の1行に「なにを・いつまでに」を書き、次の行に「なぜ」を書き、残りを箇条書きにします。チャットで短く書くときも、いつ・だれが・なにをの3つは省かないと、読んだ人が聞き返さずに動けます。
Q. 英語では5W1Hを何と呼びますか?
英語圏では Five Ws と呼ぶことが多く、How を含めて Five Ws and One H と書く場合もあります。日本では5W1Hと呼ぶのが一般的で、「六何の原則」と呼ぶこともあります。
来週のヒアリングで聞くことを6つ書いて、5W1Hに振り分ける
来週、取引先や社内の人に聞く予定のことを6つ書いて送ってください。6つの問いへの振り分けと、抜けている問い、相手にそのまま聞ける一文をお返しします。最初の一歩として、2時間で行う入口の診断、TOC分析 5万円(2時間)も選べます。