CONCEPT — SWOT ANALYSIS
SWOT分析とは:4マスの書き方とクロスSWOTで次の一手を決める手順
SWOT分析とは、自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、自社の外にある機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つを2×2の表に書き出し、その組み合わせから次に打つ手を決める方法のことです。読み方は「スウォット」です。4マスを埋めて終わると何も決まらないので、この記事では、4マスに書く前の準備と、クロスSWOTで次の一手を3つに絞るまでを、説明用の仮想例で追います。
SWOT分析とは:強み・弱み・機会・脅威の4マス
SWOTは、4つの要素の英語の頭文字を並べた言葉です。冒頭の図の説明用の仮想例(受託のIT支援会社が新しいサービスを考える)を使って、4つのマスに何を書くかを示します。
- 強み(Strengths):自社の中にあって、目的に対してプラスに働くことです。仮想例では「会計ソフトの設定を何度も手がけている」「長く付き合う取引先が地元に多い」です。
- 弱み(Weaknesses):自社の中にあって、目的に対してマイナスに働くことです。仮想例では「営業を社長1人が担っている」「月額で売る商品がまだない」です。
- 機会(Opportunities):自社の外で起きていて、目的に対してプラスに働くことです。仮想例では「取引先から請求書の電子化の相談が増えた」「生成AIを業務に使いたい会社が増えた」です。
- 脅威(Threats):自社の外で起きていて、目的に対してマイナスに働くことです。仮想例では「会計ソフト会社が導入支援を始めた」「技術者の採用が難しくなった」です。
起源には諸説あります。Weblioに載っている辞書の説明は、ハーバード・ビジネス・スクールで採用され、ケネス・R・アンドルーズらが中心になって提唱したとしています。同じページに転載されているWikipediaの記述は、1960〜70年代にスタンフォード研究所のアルバート・ハンフリーが考えたという説を紹介しつつ、本人は発案者だと主張しておらず、起源ははっきりしないと書いています。
自社でも試したい方は、今の事業の強みだと思うことを3つ書いて送ってください。それが本当に強みのマスに入るか、機会のマスに移すべきかを一緒に見て、4マスの最初の形を作ります。
- 今の事業の強み候補を3つ書いて送り、SWOTのマスを一緒に埋める → 例:「地元の取引先が多い、会計ソフトに詳しい、返信が早い」
- 5W1Hとは →
内部と外部、プラスとマイナスの分け方
4マスのどこに書くかで迷う項目は、次の2つの問いで決めます。
- 内部か外部か:「自社の判断だけで変えられるか」を問います。社員の数、商品、価格、手順は自社で変えられるので内部です。法律の改正、取引先の要望、競合の動き、景気は自社では変えられないので外部です。
- プラスかマイナスか:「最初に1行で決めた目的に対して、追い風か向かい風か」を問います。仮想例で「社員が少ない」は、新しいサービスを始める目的には弱みですが、小回りよく取引先ごとに作り変える話では強みになることがあります。
- 迷う項目の扱い:強みにも弱みにも見える項目は、両方のマスに分けて書きます。「社長が全部の取引先を知っている」は、関係の深さとしては強み、社長がいないと動けない点では弱みです。1つの文に2つの意味を込めず、2行に分けます。
- 外部の項目の集め方:外部のマスは、社内で話しているだけでは埋まりにくいマスです。取引先からの問い合わせの記録、業界団体の発表、法改正の告知など、外から来た情報の置き場所を先に決めておくと、毎回同じところから集められます。
外部をもれなく見たいときは、政治・経済・社会・技術の4つの切り口で集めるPEST分析を使い、自社・顧客・競合の3つで見たいときは3C分析を使います。どちらも、SWOTの4マスに書く材料を集める道具として使えます。
SWOT分析のやり方5つの手順
説明用の仮想例として、受託のIT支援会社が「来年、月額で売れるサービスを1つ始めるか」を決めるSWOT分析を、5つの手順で追います。
- 手順1 目的を1行で書く:「来年4月から、今の取引先に月額で売れるサービスを1つ始めるか決める」と書きます。目的が「会社の現状を見る」のような広い書き方だと、4マスの項目が増えるだけで、何も決まりません。
- 手順2 外部から書く:機会と脅威を先に書きます。外の動きを先に書くと、自社の特徴のうち、その動きに効くものが強みとして見つかりやすくなります。取引先からの問い合わせの記録を3か月分読み、同じ相談が何回来たかを数えます。
- 手順3 内部を書く:強みと弱みを書きます。社長1人で書くと、社長の得意なことが強みに並びます。営業・作業・経理の担当から1人ずつ、「取引先からほめられたこと」「断った依頼とその理由」を聞いて書きます。
- 手順4 組み合わせて打ち手を出す:強み×機会など4つの組み合わせで、打ち手を1つずつ以上書きます(次の節で説明します)。
- 手順5 3つに絞り、担当と期限を付ける:出した打ち手から、今の人数で半年以内に始められるものを3つ選び、担当1人と期限を付けます。仮想例では、図の右側の3つです。
1つのマスに書く項目は、多くても5つまでにします。10個並ぶと、次の手順で組み合わせる数が増えすぎて、打ち手を選べなくなります。項目が多いときは、目的に効く順に上から並べ、6つ目から下は別の紙に移します。
クロスSWOTで次の一手を決める
クロスSWOTは、4つのマスから2つを選んで掛け合わせ、打ち手を出す方法です。組み合わせは4通りあります。
- 強み×機会:強みを使って機会を取りにいく打ち手です。仮想例では「今の取引先に、請求書の電子化を月額で提案する」。いちばん先に始める候補になります。
- 弱み×機会:機会を逃さないように弱みを補う打ち手です。仮想例では「提案の型を1枚にして、社長以外も説明できるようにする」。
- 強み×脅威:強みを使って脅威の影響を小さくする打ち手です。仮想例では「会計ソフト会社が手がけない、社内の手順づくりまで担う」。競合と同じ土俵に乗らない形を考えます。
- 弱み×脅威:弱みと脅威が重なって最悪の事態になるのを防ぐ打ち手です。仮想例では「採用に頼らない形にするため、作業の手順書を先に整え、外部の協力先に頼める範囲を決める」。やめる事業を決める話になることもあります。
4つの組み合わせには呼び方があり、強み×機会を積極化戦略、強み×脅威を差別化戦略、弱み×機会を改善(段階的施策)、弱み×脅威を防衛・撤退と呼ぶ解説が多くあります。解説によって名前が少しずつ違うので、社内では「強み×機会」のように組み合わせの名前で呼ぶと、話がずれません。
自社の4マスを作り始めている方は、書きかけの4マスをそのまま送ってください。組み合わせから出せる打ち手の候補と、今の人数で始められる3つの選び方をお返しします。
- 書きかけの4マスを送って、クロスSWOTの打ち手を相談する → 例:表の写真やスプレッドシートのリンクのままで送れます
- KPIツリーとは →
SWOT分析のテンプレートの表の列
SWOT分析は、2×2の表を描くより、1行に1項目を書く縦長の表にしたほうが、後で並べ替えたり更新したりしやすくなります。スプレッドシートで次の列を作ります。
- マス:強み・弱み・機会・脅威のどれかを選びます。プルダウンにしておくと表記がそろいます。
- 項目:1行に1つの事実を書きます。「技術力が高い」のような評価の言葉は避け、「会計ソフトの設定を手がけた取引先が多い」のように、他の人が確かめられる形で書きます。
- 根拠:その項目を書いた理由になる記録の名前と日付を書きます。「問い合わせ記録 2026年8〜10月」「取引先の面談メモ」などです。
- 目的への効き方:最初に決めた目的に対して、大・中・小で書きます。手順5で3つに絞るときに使います。
- 書いた人と日付:だれがいつ書いたかを残します。次に書き直すときに、古い項目を見分けられます。
打ち手は別のシートに分け、「組み合わせ(強み×機会など)・打ち手・使う項目の行番号・担当・期限・状況」の列にします。使う項目の行番号を書いておくと、4マスの項目を書き直したときに、どの打ち手を見直すべきかが分かります。
SWOT分析でつまずきやすい点
SWOT分析を会議でやったのに何も変わらなかった、という会社には、次のどれかが起きています。
- 目的を決めずに書く:「会社の現状」で書くと、全部の項目が少しずつ当てはまり、4マスが埋まって終わります。手順1の1行を、会議の最初に全員で読み上げます。
- 強みと機会を混ぜる:「生成AIが使えるようになった」は、世の中の変化なら機会、自社の社員が業務で使いこなしているなら強みです。主語を「自社が」と「世の中で」のどちらで書けるかで分けます。
- 評価の言葉で書く:「品質が高い」「対応が丁寧」は、競合も同じことを書きます。取引先から言われた言葉や、数えられる事実に書き直します。
- 社長1人で書く:社長の目に入る範囲だけが4マスに並びます。現場の担当と取引先の声を手順3で入れます。
- 1回書いて終わる:外の動きは半年もすると変わります。古い4マスのまま打ち手を続けると、もう無い機会を追い続けることになります。
打ち手を始めた後の進み具合は、PDCAサイクルで追います。打ち手ごとに「やったこと・数字の変化・次にやること」を月に1回書き、半年後の書き直しで4マスに戻します。
SWOTの4マスを半年に1回書き直す担当と日付を決める
SWOTの4マスが、作った人のパソコンのファイルや会議のホワイトボードの写真にだけ残っていると、半年後にはだれも開かなくなります。sento.groupでは、4マスを会社の共有のスプレッドシートに置き、書き直す担当1人と、書き直す月(例:4月と10月)を、作った日に決めてもらいます。
書き直す月が来たら、担当は前回の表をコピーせずに開き、各行の「根拠」の日付を見て、半年より古い根拠の行に印を付けます。印の付いた行だけを、新しい問い合わせの記録や取引先の声で確かめ直し、残すか消すかを決めます。消した行も「消した日」の列に日付を入れて残すと、何が変わったかを後で追えます。
生成AIに外部の情報を集めさせる場合は、目的の1行と、調べてほしい業界と地域をAIに渡し、出てきた項目には元のページのURLを「根拠」の列に入れさせます。URLの無い項目は、担当が自分で確かめるまで4マスに入れません。
最初の一歩として、sento.groupのTOC分析 5万円(2時間)は、2時間で行う入口の診断です。SWOTの目的の1行と、直近3か月の取引先からの問い合わせの記録を持ってきてください。2時間で、強みと機会の候補と、今いちばん詰まっている業務と、4マスを書き直す担当と月を決めます。
よくある質問
Q. SWOT分析の読み方は?
「スウォット分析」と読みます。強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の頭文字を並べた言葉です。
Q. SWOT分析とクロスSWOT分析は何が違いますか?
SWOT分析は、4つのマスに項目を書き出すところまでを指します。クロスSWOT分析は、その4マスから2つを掛け合わせて、強み×機会などの組み合わせごとに打ち手を出すところまでを指します。次に何をするかを決めるには、クロスSWOTまで進めます。
Q. SWOT分析と3C分析はどう使い分けますか?
3C分析は、顧客・競合・自社の3つの切り口で情報を集める方法です。3C分析で集めた顧客と競合の情報は機会と脅威の材料に、自社の情報は強みと弱みの材料になります。先に3C分析で集めてから、SWOTの4マスに分けると、外部のマスが埋めやすくなります。
Q. SWOT分析は何人でやればよいですか?
3〜5人が目安です。社長か責任者1人に、営業・作業・経理など違う仕事の担当を1人ずつ加えます。人数が多いと1つのマスに項目が並びすぎるので、事前に各自が書いてきた項目を、会議で4マスに並べるやり方にします。
Q. 個人の転職や就職活動にも使えますか?
使えます。自分の経験やできることを強み・弱みに、応募する業界の動きを機会・脅威に書きます。この場合も、「どの会社に応募するか決める」のように、目的を1行で決めてから書きます。
今の事業の強み候補を3つ書いて、SWOTのマスを一緒に埋める
今の事業の強みだと思うことを3つと、決めたいこと(新しいサービスを始めるか、など)を1行書いて送ってください。4マスの最初の形と、クロスSWOTで出せる打ち手の候補をお返しします。最初の一歩として、2時間で行う入口の診断、TOC分析 5万円(2時間)も選べます。