CONCEPT — AI SUPPORT
社内問い合わせAIチャットボットの導入:答えの元を先に決め、答えられない質問の行き先を作る
社内問い合わせAIチャットボットとは、社内の規程・手順書・過去の回答を読ませておき、社員の質問にその文書を元に答えさせる仕組みです。答えの質はAIの性能より、読ませる文書が最新で1つに決まっているかで決まります。
社内問い合わせAIチャットボットとは
社員が「交通費の精算の締めはいつ?」「新しいパソコンはどこに頼む?」と聞くと、AIが社内の規程や手順書から該当する箇所を探し、その内容を元に答える仕組みです。文書を探して答えに使う方式は、検索拡張生成(RAG)とも呼ばれます。
AIが自分の知識だけで答えるのではなく、読ませた文書を元に答えるのが特徴です。そのため、答えの質は「読ませた文書が正しいか」「同じ話題の文書が1つに決まっているか」で決まります。
総務・経理・情報システムの担当者が同じ質問に何度も答えている会社では、その質問の一覧と、いま答えに使っている文書の置き場所を書くところから始められます。書けた分だけ送ってもらえれば、どこから手をつけるかを一緒に決めます。
入れる前に決める3つのこと
ツールを比べる前に、次の3つを紙1枚に書きます。ここが空のまま入れると、何でも聞けるけれど、どれも少しずつ外れる窓口になります。
- どの問い合わせに答えさせるか:「経費精算」「入社・退社の手続き」「パソコンとアカウント」のように、部署と話題で絞ります。最初は1部署の、毎週同じ質問が来る話題を選びます。
- どの文書を答えの元にするか:規程、手順書、過去の回答のうち、どれを正とするかを決め、置き場所を1つにします。同じ話題で版の違う文書が2つあれば、古い方を外します。
- 答えられないときに誰へ回すか:AIが「文書に書かれていない」と判断したときに、どの担当者へ、どの窓口(チャットの部屋、問い合わせフォーム)で回すかを書きます。
3つ目が空だと、AIは答えられない質問にも何かを答えようとします。「わからないときは担当者に回す」を最初から仕組みに入れておくと、間違った答えが社内に広がるのを止められます。
答えの元になる文書の整え方
AIに読ませる前に、文書を3つに分けます。全部を読ませるより、正しいと言える文書だけを読ませた方が答えは安定します。
- そのまま読ませる:最新版の規程、担当者が今も使っている手順書。最終更新日と、直す担当の名前が書かれているもの。
- 直してから読ませる:中身は正しいが、例外が担当者の頭にだけある手順書。「ただし〇〇の場合は」の一文を書き足してから読ませます。
- 読ませない:古い版、個人のメモ、議事録の途中のメモ、誰が書いたかわからない文書。残す場合も、読ませる置き場所とは分けます。
文書が社内Wikiに散らばり、更新されずに残っている場合の整え方は「社内Wikiが更新されず孤立する問題」に、手順書の書き方は「業務マニュアルの作り方」に書いています。AIが読める形にする考え方は「AIに渡せる形」でまとめています。
試すときの合格の決め方
試作を見て「よく答える」と感じても、本番に進む根拠にはなりません。過去に実際に来た質問で試し、結果を人が判定します。
- 質問を集める:チャットやメールで実際に来た質問を、言い回しを直さずに集めます。担当者が整えた質問だけで試すと、本番の聞き方で外れます。
- 3つに分けて判定する:正しく答えた、答えずに担当者へ回した、間違えた。間違えたものは、どの文書のどこを元にしたかも記録します。
- 本番に進む条件を書く:間違えた答えを何件まで許すか、担当者に回さずに答えられた割合がどこまで来たら1部署で使い始めるかを、試す前に決めて書きます。
間違えた答えの多くは、元にした文書が古いか、同じ話題の文書が2つあることから起きます。AIの設定を変える前に、元の文書を確かめます。
PoCで止まった後の立て直し方は「AIパイロットがPoCで止まる問題」で書いています。過去の質問を集めたものの判定のしかたで迷うときは、質問の一覧を送ってください。判定表の作り方から一緒に決めます。
権限と、入れてはいけない情報
社内の誰でも聞ける窓口に、一部の人しか見てはいけない文書を読ませると、聞き方次第でその内容が答えに出ます。読ませる前に線を引きます。
- 全員に答えてよい:就業規則、経費精算の手順、社内システムの使い方。
- 部署や役職で分ける:人事評価の基準、給与テーブル、取引先との契約条件。分けられない仕組みなら、最初は読ませません。
- 読ませない:個人の給与や評価、健康に関する情報、顧客の個人情報。
元の文書の閲覧権限がばらばらな会社では、AIに読ませる前に権限を揃える必要があります。権限の整理の進め方は「権限がバラバラで数字が見えない問題」に書いています。
導入後に止まる理由と、続ける仕組み
入れた直後はよく使われても、規程が変わったのに文書が古いまま残ると、AIは古い答えを返し続け、社員はまた担当者に直接聞くようになります。
- 文書の更新担当:話題ごとに、文書を直す人の名前を書きます。規程を変えた人が、同じ日に文書も直します。
- 答えられなかった質問の記録:AIが担当者へ回した質問を一覧に残し、毎月1回、文書に足すかを決めます。
- 間違いの報告先:社員が「この答えは違う」と伝える場所を1つにします。報告が来たら、元にした文書を直します。
答えられなかった質問の一覧は、社内の文書に何が足りないかの記録にもなります。AIに任せる範囲と人が見る範囲を会社の台帳に残す考え方は「ハーネスエンジニアリング」で書いています。
作るか、既製品を使うか
社内問い合わせへの自動回答は、いま使っているツールに付いているAI機能、専用のサービス、自社で組む仕組みのどれでも始められます。名前ではなく、3つの問いで選びます。
- 答えの元の文書は、どこに置かれていますか:いま使っている文書管理やチャットのツールにAI機能があれば、まずそれで1部署を試します。
- 部署や役職で答えを分ける必要がありますか:必要なら、元の文書の権限をそのまま引き継げるかを確かめます。
- 答えられなかった質問を、担当者へ回して記録できますか:回せない仕組みは、止まる理由の記録が残りません。
料金の数え方(利用者数、質問数、読ませる文書の量)はサービスごとに違うため、各社の公式の料金ページで確かめます。外に頼む場合の費用の見方は「AI導入の費用」に、支援会社の選び方は「AI導入支援の選び方」に書いています。
sento.groupに頼む場合
sento.groupは、担当者に毎週来ている質問を洗い出し、答えの元にする文書を選び直すところから始めます。試すときの判定表と、答えられなかった質問を文書へ戻す月1回の手順は、社内の担当者が回せる形で残します。入口は、答えさせる問い合わせが絞れているかで分かれます。
- 答えさせる問い合わせがまだ絞れていない:2時間のTOC分析(5万円(2時間))から始めます。
- 問い合わせと文書は決まっていて、試作や仕組みづくりを外に頼みたい:範囲とチーム構成で変わるため、個別にお見積りします。
毎週来る質問を5つと、その答えに使っている文書の置き場所を書いて送ってください。どの話題から始めるかと、文書の整え方の案をお返しします。
よくある質問
Q. 社内問い合わせAIチャットボットと、よくある質問のページは何が違いますか?
よくある質問のページは、決まった質問に決まった答えを載せます。AIチャットボットは、社員が自分の言葉で聞いた質問に、読ませた文書から該当する箇所を探して答えます。そのぶん、読ませる文書が古いと間違えるため、文書の更新担当が要ります。
Q. AIが間違った答えを返すのを防ぐにはどうしますか?
読ませる文書を最新版の1つに絞り、文書に書かれていない質問は担当者へ回す設定にします。試すときに過去の質問で間違いを数え、間違えた答えがどの文書を元にしたかを確かめて、文書を直します。
Q. 最初はどの部署から始めればいいですか?
毎週同じ質問が来ていて、答えの元になる文書がすでにある部署から始めます。経費精算や社内システムの使い方は、規程や手順書があることが多く、始めやすい話題です。
Q. 人事や給与の質問にも答えさせられますか?
部署や役職で読める文書を分けられる仕組みでなければ、最初は読ませません。個人の給与や評価、健康に関する情報は読ませない側に置きます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
いま使っているツールのAI機能で始めるか、専用のサービスを使うか、自社で組むかで変わります。各社の料金は公式ページで確かめてください。sento.groupに頼む場合、答えさせる問い合わせがまだ絞れていなければ2時間のTOC分析(5万円(2時間))から始めます。仕組みづくりの支援は範囲とチーム構成で変わるため、個別にお見積りします。
毎週来る質問5つと、文書の置き場所で相談する
質問の一覧と、いま答えに使っている文書の置き場所を書いて送ってください。どの話題から始めるかと、文書の整え方の案をお返しします。