CONCEPT — AI SUPPORT
AI導入支援の選び方:頼む前に決める5つのことと、失敗する頼み方
AI導入支援の選び方とは、支援会社を比べる前に社内で5つのことを決め、その答えに合う会社を選ぶ方法です。決めずに相談すると、提案は「AIで何ができるか」の紹介になり、どの会社の提案が自社に合うかを比べられません。
「AI導入支援」と名乗る会社が引き受ける仕事は4種類
同じ「AI導入支援」「AIコンサル」でも、ある会社は方針を決めるだけ、別の会社は作るだけ、という違いがあります。候補を探す前に、外に出したい仕事に印を付けます。
- 方針を決める仕事:最初に手をつける業務の選定、作らないものの線引き、出来上がりの合否。顧問型の会社が受けます。
- 手を動かす仕事:試作、エージェントの構築、既存の会計ソフトやチャットとのつなぎ込み。受託開発型の会社が受けます。
- 動かし続ける仕事:毎月の動作確認、仕様変更への追従、不具合の修正。保守型の会社が受けます。
- 教える仕事:社員が自分で使い、直せるようになるまでの講座や合宿。研修型の会社が受けます。
印を付けた仕事がそれぞれいくらになるかは「AI導入の費用」で、払い先ごとに分けて書いています。どれに印を付ければいいか迷うときは、対象の業務を1行書いて送ってください。
頼む前に社内で決める5つのこと
次の5つを紙1枚に書いてから相談します。全部が埋まらなくても、空いている欄が「支援会社に頼みたいこと」になります。
- 最初の1業務:「請求書の転記」「問い合わせの一次回答」のように1つに絞り、今その業務に月何時間かかっているかを書きます。
- 合格の数字:「100件中90件を人の直しなしで処理できたら本番に進む」のように、本番に進む条件を書きます。
- 判断する人と使う人:本番に進むかを決める人と、毎日その画面を開く人の名前を書きます。決裁者は最初の打ち合わせから出ます。
- 渡せるデータ:社外に渡してよいデータ、社内でしか扱えないデータ、まだ紙や個人のExcelにあるデータを分けて書きます。
- 終わったときに社内に残すもの:手順書、設定、判断の記録のどれを社内に置き、誰が直すかを書きます。
渡せるデータの確かめ方は「AI-readyチェックリスト」と「AIに渡せる形」にまとめています。
書けた欄だけでも、お問い合わせに貼り付けて送ってください。空いている欄を一緒に埋めるところから始められます。
導入の進め方:課題整理→PoC→本番→定着
支援会社の提案は、いま自社がどの段階にいるかで中身が変わります。段階を飛ばすと、試作は動いても毎日の画面では止まります。各段階で社内が出すものを先に書きます。
- 課題整理:社内が出すのは、最初の1業務の名前、今かかっている月の時間、困っている画面の名前です。支援会社が出すのは、その業務を残すか止めるかの案と、合格の数字の下書きです。
- PoC:社内が出すのは、本番と同じ形のデータ(欠けや表記ゆれを残したまま)、合格の数字、毎日使う人の名前です。支援会社が出すのは、動く試作と、合格の数字に届いたかの結果です。
- 本番:社内が出すのは、渡してよいデータの線、止めたときの戻し方、決裁者の出席です。支援会社が出すのは、本番のデータで動く仕組みと、手順書の初稿です。
- 定着:社内が出すのは、維持の担当名、手順書の置き場所、月1回の確認日です。支援会社が出すのは、担当が自分で直せる範囲の説明と、壊れたときの連絡先です。
いま課題整理の途中なら、PoCの見積だけを比べても条件が揃いません。紙1枚に「いまの段階」と「社内が出せるもの」を書いてから見積を取ります。
失敗する頼み方チェックリスト
次のどれかに当てはまる頼み方は、PoCで止まるか、契約が終わった日に止まります。相談の前に、自社の頼み方を1行ずつ確かめます。
- 業務を決めずに「AIで何かできませんか」と頼む
- 他社の事例のデモを見て、自社の業務とデータを確かめずに同じものを頼む
- 合格の数字を支援会社に決めてもらう
- 決裁する人が最初の打ち合わせに出ず、途中で方針がひっくり返る
- 見積の納品物が「システム一式」とだけ書かれたまま契約する
- PoCで使うデータを検証用に整え、本番のデータで試さない
- 維持の担当と毎月の確認日を決めずに、作り終わった時点で契約を終える
PoCで止まった後の立て直し方は「AIパイロットがPoCで止まる問題」で書いています。すでに当てはまる頼み方で進んでいる案件は、今の状態を送ってください。
支援と受託開発の違い
導入支援と受託開発は、契約の初日に何が決まっているかで分かれます。名前ではなく、初日の紙を見て見分けます。
- 導入支援:最初の1業務、合格の数字、渡せるデータ、終わったあとに残すものを、支援会社と一緒に決めます。作る人が別の会社でも成立します。
- 受託開発:仕様書に書いた画面とつなぎ込みを作ります。合格の数字と渡せるデータが空のまま頼むと、動くものはできますが、本番に進む条件がありません。
受託開発が要るのは、5つが埋まり、作る範囲が「この画面の、この列を、この条件で書く」まで落ちているときです。まだ1業務が空なら、先に支援(方針を決める仕事)を選びます。
相談のときに支援会社へ聞く5つの質問
会社の大きさや事例の数より、自社の5つの答えに対して何をしてくれるかで比べます。どの会社にも同じ質問をして、答えを同じ表に並べます。
- この提案には、判断・開発・維持・教える仕事のどれが入っていますか。
- PoCで受け取るのは、動く試作だけですか、合格の数字に届いたかの評価まで含みますか。
- 毎週の打ち合わせに出るのは誰で、作るのは誰ですか。
- 合格の数字に届かなかったとき、何が納品されて、どこで止めますか。
- 契約が終わった日に、手順書と設定は社内に残りますか。社員が自分で直せるところまで教えてもらえますか。
導入後の定着と、社内で直せるようにする
作り終わった日に止まらないように、定着の担当と残すものを、作る前に書きます。教える仕事(講座や合宿)は、残すものが決まったあとに1行で足します。
- 維持の担当:毎月、どの画面を開き、何件を試し、壊れていたら誰に伝えるかを名前で書きます。
- 残すもの:手順書、設定、判断の記録を、会社の共有フォルダの同じ場所に置きます。外注先のアカウントにだけある状態は止めます。
- 直せる範囲:社員が自分で変えてよい項目と、支援会社に戻す項目を表にします。
定着の支援を頼むときは、「何を残すか」と「誰が直すか」が提案に書いてあるかを見ます。残すものが空の提案は、契約が終わった日から同じ相談をやり直すことになります。
渡すデータと、セキュリティの線
支援会社に渡すデータは、業務が決まったあとに3つに分けて書きます。線が無いと、顧客名や金額が外のAIに入ります。
- 社外に渡してよい:検証用に用意した明細で、氏名を消したもの、公開してよい商品名。
- 社内でしか扱えない:顧客の氏名、請求金額、契約書の本文。外のAIに貼らないと紙に書きます。
- まだ紙や個人のExcelにある:渡す前に、会社の共有フォルダへ移す日を書きます。個人のダウンロードフォルダからは渡しません。
線を書いたら、出力を人が見る判断も1行で足します。「この金額を超えたら人が見る」「この文言は送信前に担当が直す」のように、画面を開く人の名前とセットで書きます。アカウントと操作の記録の置き場所も、同じ紙に書きます。
補助金を見るなら、公式ページで確かめる
AIを含むITツールの導入に使える制度として、事務局サイト(it-shien.smrj.go.jp)は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」を案内しています。金額・補助率・締切は公募回ごとに変わるため、申請の前にそのページで確かめます。
この記事で確かめた範囲は、対象が中小企業・小規模事業者であること、申請にGビズIDが要ること、IT導入支援事業者と一緒に申請すること、です。補助の対象になるツールや役務の範囲は、公募要領のその回の版を開いて確認します。
支援会社が「補助金が使えます」とだけ言う場合は、その会社がIT導入支援事業者として登録されているかと、入れたいツールがその回の対象かを、事務局サイトで自分でも開きます。
AIの判断ルールを、担当者の頭から会社の台帳へ
支援会社に頼んでも、「このデータは入れてよい」「この判断は人が見る」が担当者の頭やチャットにだけあると、担当者が変わった日に同じ相談を一からやり直すことになります。
頼む前に書いた5つの答えと、支援会社と決めたこと(入れてよいデータ、AIに任せる判断、合格の数字と測った結果)を、会社の共有フォルダの同じ場所に置きます。次に別の業務を頼むときは、その台帳を支援会社に渡すところから始めます。仕組みを社内に残す考え方は「ハーネスエンジニアリング」でも書いています。
sento.groupに頼む場合
sento.groupは累計200社以上の業務改善とAI導入を支援してきました。方針を決める役と手を動かす役を分けて置きます。どこまで決まっているかで入口が変わります。
- 1つ目の欄(最初の1業務)がまだ空:2時間のTOC分析(5万円(2時間))から。(概算です。詳細はお見積りで)
- 5つが埋まり、方針を決める人や手を動かす人を外に置きたい:範囲と体制で変わるため個別にお見積りします。
5つを書いた紙をそのままお問い合わせに貼り付けてください。空いている欄の埋め方と、その条件での概算をお返しします。
よくある質問
Q. AI導入支援とAIコンサルは違いますか?
呼び方は会社によって違います。名前ではなく、提案に判断・開発・維持・教える仕事のどれが入っているかで見分けます。判断だけの会社に頼むと、作るのは自社か別の会社になります。
Q. 相談の前に何を用意すればいいですか?
最初の1業務と、その業務に今かかっている月の時間を書いた紙1枚で始められます。合格の数字や渡せるデータが決まっていなければ、そこを支援会社と一緒に決めます。
Q. AI導入でよくある失敗は何ですか?
業務を決めずに頼む、合格の数字を決めずにPoCを始める、維持の担当を決めずに契約を終える、の3つが多いです。この記事の失敗する頼み方チェックリストで、自社の頼み方を確かめてください。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
判断・開発・維持・教える仕事のどれを頼むかで変わります。頼む仕事ごとの金額の見方は、関連記事「AI導入の費用」にまとめています。sento.groupに頼む場合、最初の1業務がまだ決まっていなければ2時間のTOC分析(5万円(2時間))から始めます。月額の支援は範囲と体制で変わるため個別にお見積りします(概算です。詳細はお見積りで)。
Q. AI導入に補助金は使えますか?
使える場合があります。事務局サイト「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」で、対象・補助率・締切を公募回ごとに確かめてください。申請はIT導入支援事業者と一緒に行います。
Q. 支援会社に自社データを渡しても大丈夫ですか?
渡す前に、社外に出してよいデータ、社内でしか扱えないデータ、まだ紙や個人のExcelにあるデータを分けて書きます。顧客の氏名や請求金額は、外のAIに貼らず、渡す範囲と出力を人が見る判断を同じ紙に残します。
5つを書いた紙で、そのまま相談する
最初の1業務と、書けた欄だけを送ってください。空いている欄の埋め方と、その条件での概算をお返しします。