CONCEPT — FILE NAMING RULE
フォルダ構成ルールの決め方:階層の深さ・ファイル名・置き場所の台帳
フォルダ構成ルールとは、共有フォルダやGoogleドライブで、フォルダを何段まで作るか、各段に何の名前を付けるか、ファイル名を何の順に並べるかを、会社として1枚に決めたもののことです。ルールが人によって違うと、同じ見積書が3つのフォルダに分かれ、どれが最新かを毎回だれかに聞くことになります。
フォルダ構成ルールで決める3つのこと
フォルダ構成ルールは、次の3つを決めて1枚に書いたものです。どれか1つが空いていると、空いたところで人ごとの置き方が始まります。
- 階層の深さ:共有ドライブの下に、フォルダを何段まで作ってよいか。
- 各段の分け方:1段目は部署、2段目は年度と案件、3段目は書類の種類、のように各段に何を置くか。
- ファイル名の並び:年月日・案件番号・書類の名前・版を、どの順に、どの区切り文字でつなぐか。
共有ドライブに置いたExcelが、いつの間にか会社の正式な台帳の代わりになってしまう問題は「共有ドライブのExcelが真実になってしまう問題」で扱っています。ここでは、フォルダとファイル名そのものの決め方を書きます。
今のフォルダの1段目と2段目の名前を書き出して送っていただければ、どこで分け方が混ざっているかを一緒に見られます。
- 今のフォルダの1段目と2段目の名前を書いて相談する → エクスプローラーやGoogleドライブの画面に見えている名前を、そのまま書き写してください。
- 共有ドライブのExcelが真実になってしまう問題 →
階層は3段まで、4段目はファイル名で分ける
階層が深いほど、置く人ごとに「どの段で分けるか」の判断が増え、探す人は何度もフォルダを開くことになります。3段で収め、それより細かい区別はファイル名の部品でつけます。
- 1段目:部署や機能(01_営業、02_総務、03_経理)。頭に2桁の番号を付けると、並び順を会社で固定できます。
- 2段目:年度と案件(2026_A123)。顧客名は社名変更や表記の違いがあるため、変わらない案件番号を使います。
- 3段目:書類の種類(01_提案、02_見積、03_発注、04_契約)。種類の一覧は台帳で決め、ここに無い名前のフォルダは作りません。
- 作業中と確定を分ける:社内で直している途中のファイルと、取引先に出したファイルを同じフォルダに混ぜないよう、3段目の中で「作業中」フォルダを1つだけ許します。
4段目を作りたくなるのは、たいてい同じ種類の書類が増えたときです。そのときはフォルダを足さず、ファイル名の先頭の年月日と版で並べます。
深さには、使う道具の制限もあります。Googleの共有ドライブはフォルダの入れ子が100階層までと公式ヘルプに書かれていますが、それより前に、SharePointのパス全体の長さ(ファイル名を含めて400文字まで)や、Windowsのエクスプローラーの260文字に先に当たります。日本語のフォルダ名を何段も重ねると、長いファイル名を付けたときに開けない、同期できないといったことが起きます。
ファイル名の型:年月日・案件番号・書類の名前・版
ファイル名は4つの部品を、いつも同じ順に並べます。説明用の仮想例として、案件番号A123の見積書の2回目の版なら「20261028_A123_見積書_第02版.xlsx」です。
- 年月日:20261028のように8桁で先頭に置きます。2026/10/28のスラッシュはファイル名に使えません。名前順に並べるだけで日付順になります。
- 案件番号:社内で振った番号にします。顧客名は略称がぶれ、社名変更で探せなくなります。
- 書類の名前:見積書・発注書・議事録のように、台帳の一覧にある言葉から選びます。「見積」「御見積」「見積り」を混ぜないためです。
- 版:第01版、第02版のように2桁の番号で上げます。「最終」「最新」「修正版」は、次に直したときに意味が変わるので使いません。
- 区切り文字:部品のあいだはアンダースコア(_)にそろえ、全角と半角を混ぜません。
部品が4つより多くなるときは、案件番号の中に区別を入れられないかを先に見ます。ファイル名が長くなるほど、さきほどのパスの長さの制限に当たりやすくなります。
使えない文字と、避ける名前
ファイル名に使えない文字は、WindowsとSharePoint・OneDriveの公式ページに書かれています。社内のルールには、両方で使えない文字をまとめて「使わない文字」として書いておきます。
- Windowsで使えない文字:\ / : * ? " < > | の9つ。Microsoftの開発者向けドキュメントの、ファイル名の付け方を説明したページに書かれています。
- SharePoint・OneDriveで使えない文字:同じ9つで、組織の設定によっては
- 名前の先頭と末尾のスペース:SharePoint・OneDriveでは使えず、Windowsでも末尾のスペースとピリオドは避けるよう書かれています。
- 予約された名前:CON、PRN、AUX、NUL などは、拡張子を付けてもファイル名に使えません。
年月日をスラッシュで書けない、時刻をコロンで書けないのは、この制限のためです。8桁の年月日と、必要なら4桁の時刻(1430)で書くとそろいます。
版の付け方:ファイル名の版と、クラウドの版の履歴
Googleドライブにも OneDrive にも、ファイルの以前の版に戻せる機能があります。ただし、残る期間や数には限りがあり、取引先に出した版の記録としては使えません。
- Googleドライブ:アップロードしたファイルは「版を管理」から以前の版を見られますが、Googleのヘルプでは、古い版は30日後か新しい版が100個できた時点で削除されることがあると案内されています。「この履歴を削除しない」を選べば残せます。
- Googleドキュメント・スプレッドシート:変更履歴から以前の状態に戻せます。版に名前を付けられる数には上限があります。
- OneDrive:ファイルを右クリックして「バージョン履歴」から以前の版を復元できます。職場や学校のアカウントでは、管理者の設定で使えないことがあります。
社内で直している途中の保存はクラウドの版の履歴に任せ、取引先に出した時点や上長が承認した時点だけ、ファイル名の版を1つ上げます。こうすると、ファイル名の版の番号が「外に出した回数」と一致します。
見積書の版が散らかって、どれを出したか分からなくなる問題は「見積書の版が散らかる問題」で、見積の仕組みの側から書いています。
今のフォルダから新しい構成へ移す手順
ルールを決めても、今のフォルダをそのままにしておくと、古い場所と新しい場所の両方に置かれ始めます。移すときは、次の順で進めます。
- 今の1段目と2段目を書き出す:フォルダ名を一覧にし、それぞれの中にある書類の種類を1行ずつ書きます。
- 対応表を作る:古いフォルダ名の横に、新しい構成のどこへ移すかを書きます。移さずに保管庫へ送るものも、ここで決めます。
- 1部署ずつ移す:全社を一度に移すと、移している最中に置き場所が分からなくなります。1部署ずつ、締めのない週に移します。
- 古い場所に案内を残す:古いフォルダの中に「移動先」というファイルを1つ置き、新しい場所を書いておきます。1か月たったら古いフォルダを保管庫に送ります。
1部署を移し終えたら、その部署の人に、よく使う書類を3つ探してもらい、何回フォルダを開いたかを数えます。3段で収まっていれば、どの書類も3回で届きます。
対応表を作る段階で、どの部署から移すかを決めかねている場合は、フォルダの1段目と2段目の名前を書いて送ってください。具体的な最初の一歩として、業務のどこが一番詰まっているかを1か所に絞るTOC分析 5万円(2時間)も用意しています。
置き場所の台帳を共有ドライブの1段目に置く
「あの書類はどこ?」と聞かれて答えられる人が社内に1人いるなら、置き場所のルールはその人の頭の中にあります。その人が休むと、新しい人は手近なフォルダを作り始めます。
- 置き場所の台帳を1つ作る:共有ドライブの1段目に「置き場所の台帳」というスプレッドシートを1つだけ置き、1行に「書類の種類・置くフォルダ・ファイル名の例・保管する年数・決めた人・決めた日」を書きます。
- フォルダを作る前に台帳に1行:新しい種類の書類が出てきたら、フォルダを作る前に台帳へ1行足し、決めた人の欄に名前を書きます。台帳に無いフォルダは、月に1回の点検で台帳に足すか、既存の場所へ移します。
- AIに書類を探させるときも台帳を渡す:社内の書類をAIに読ませて探させるときは、台帳の行を最初に読ませます。どの種類の書類がどのフォルダにあるかが分かると、AIが関係のないフォルダを読む時間が減ります。
台帳の列は、書類の種類ごとの「定義」を書く点で、データの項目を定義する書類と同じ考え方です。項目の定義の書き方は「データ定義書(項目定義書)の作り方」で書いています。
よくある質問
Q. フォルダの階層は何段までにすればよいですか?
3段を目安にします。1段目に部署、2段目に年度と案件、3段目に書類の種類を置き、それより細かい区別はファイル名の年月日と版でつけます。深くするほど、置く人ごとに分け方が変わり、パスの長さの制限にも当たりやすくなります。
Q. ファイル名の日付は、先頭と末尾のどちらに付けますか?
先頭に、20261028のように8桁で付けます。名前順に並べるだけで日付順になり、同じ日に作った書類がまとまります。スラッシュはファイル名に使えないため、区切らずに8桁で書きます。
Q. 「最終版」というファイル名はなぜいけないのですか?
最終版を直したときに、次の名前が「最終版2」「最終の最終」のようになり、どれが本当に最後か分からなくなるためです。第01版・第02版のように2桁の番号で上げ、取引先に出したときだけ番号を1つ上げます。
Q. GoogleドライブやOneDriveの版の履歴があれば、ファイル名の版は要りませんか?
取引先に出した版は、ファイル名で残します。Googleのヘルプでは、アップロードしたファイルの古い版は30日後か新しい版が100個できた時点で削除されることがあると案内されています。途中の保存は版の履歴に任せ、外に出した版だけファイル名の番号を上げます。
Q. 個人のフォルダは作ってよいですか?
作業中のファイルを置く場所として、3段目の中に「作業中」フォルダを1つ許すのがおすすめです。個人名のフォルダを1段目に作ると、その人が異動したあとに中身を誰も開かなくなります。
フォルダの1段目と2段目の名前を書いて、構成を一緒に決める
今の共有フォルダの1段目と2段目の名前と、よく探す書類を3つ書いて送ってください。3段に収める分け方と、置き場所の台帳に最初に書く行をお返しします。