CONCEPT — KGI AND KPI
KGIとKPIの違い:KSF・OKRとの関係と、中小企業でKPIを2〜3個に絞る決め方
KGIとは期の終わりに届いたかどうかを確かめる最終の目標の数字で、KPIとはそのKGIに届くために毎週見て手を打つ途中の数字のことです。たとえば「今期の受注件数」がKGIなら、「月の商談件数」や「見積の受注率」がKPIになります。KGIは年に1回か四半期に1回見て、KPIは週の会議で見るので、見る頻度と、数字が悪かったときに誰が何をするかが2つの大きな違いです。
KGIとKPIの違いを1枚の表で比べる
KGIとKPIは、どちらも数字で書く目標です。違いは、何を表す数字か、いつ見るか、悪かったときに何ができるかにあります。次の7つの観点で並べると、手元の数字がどちらに当たるかを判断できます。
- 正式な名前:KGIは Key Goal Indicator の略で、日本語では重要目標達成指標と呼びます。KPIは Key Performance Indicator の略で、重要業績評価指標と呼びます。
- 表すもの:KGIは最後に届けたい結果(売上、受注件数、営業利益など)です。KPIはその結果を生む途中の動き(商談の数、受注率、返信までの時間など)です。
- 見る頻度:KGIは四半期や期末に見ます。KPIは週や月の会議で見ます。
- 数:KGIは会社や部署ごとに1つにします。KPIはKGI1つに対して2〜3個にします。
- 決める人:KGIは経営者や部署の責任者が、事業の計画から決めます。KPIは、実際に手を動かす担当と一緒に、日々の作業から決めます。
- 悪かったとき:KGIが届かなかったと分かるのは期の終わりなので、次の期の計画を直します。KPIが悪ければ、翌週の訪問先や見積の出し方を変えます。
- 数える元:KGIは会計ソフトや受注の一覧のような締めた数字から取ります。KPIは顧客管理の表や問い合わせの記録など、日々更新される表から取ります。
迷ったときは「この数字が悪かったら、来週の誰の行動が変わるか」と問います。答えられる数字はKPIに向いています。答えられない数字は、KGIか、ただの参考の数字です。
今のKGIとKPIを3行で書いて送っていただければ、どの数字が来週の行動につながっていないかを見てお返しします。
- 今のKGIとKPIを3行書いて送り、KPIを2〜3個に絞る相談をする → 「KGI:今期の受注件数」「KPI:訪問件数・見積件数・受注率」のような書き方で足ります
KGI・KSF・KPI・OKRそれぞれの意味と関係
KGIとKPIの記事では、KSFやOKRという言葉もよく一緒に出てきます。4つの関係は、上から順に「何を達成するか」「何をすれば届くか」「それをどの数字で確かめるか」と読むと整理できます。
- KGI(重要目標達成指標):期の終わりに届いたかを確かめる最終の数字です。説明用の仮想例では「今期の受注件数」です。
- KSF(重要成功要因):Key Success Factor の略で、KGIに届くために欠かせない条件や方針です。KFS(Key Factor for Success)やCSF(Critical Success Factor)とも呼ばれます。「商談の数を増やす」「見積から受注に至る割合を上げる」のように、数字の無い文で書くことが多くなります。
- KPI(重要業績評価指標):KSFが進んでいるかを確かめる途中の数字です。「商談の数を増やす」というKSFなら、「月の商談件数」がKPIになります。
- OKR:Objectives and Key Results の略で、目指す姿を言葉で書いた目標(Objective)と、そこへの進み具合を測る主要な結果(Key Results)を組みにした目標の立て方です。目標の側は数字で書かなくてもよく、チームが同じ方向を向くための文として置きます。
中小企業では、まずKGIを1つ書き、その下にKSFを1〜2行、KPIを2〜3個置けば、週の会議で見る数字が決まります。OKRは、新しい事業や新しいチームのように、過去の実績から目標の数字を決めにくい場面で使うと向いています。
KGIからKPIを2〜3個に絞る5つの手順
KPIは、思いつく数字を並べるほど増えていきます。KGIから逆にたどって、2〜3個まで減らしていく順番で決めます。説明用の仮想例として、受注件数をKGIにした会社で進めます。
- 手順1 KGIを1つ、期限と数字で書く:「今期(○月末まで)の受注件数を○件にする」のように書きます。目標の数字は、前の期の実績と、営業の人数から決めます。売上と利益のように2つ置きたくなったら、今期に一番動かしたい方を1つ選びます。
- 手順2 KGIを掛け算に分ける:受注件数は「商談件数 × 見積を出す割合 × 見積の受注率」のように分けられます。分けた要素のうち、自社で変えられるものに印を付けます。
- 手順3 KSFを1〜2行で書く:印を付けた要素のうち、今期いちばん伸ばせそうなものを選び、「商談の数を増やす」「見積から受注に至る割合を上げる」のように方針を書きます。
- 手順4 KSFごとにKPIを1〜2個選ぶ:候補を出したら、毎週数えられるか、悪かったときに翌週の行動が変わるかの2つで残します。仮想例では「月の商談件数」「見積の受注率」「見積を出すまでの日数」の3つを残しました。
- 手順5 KPIごとに式・元の表・担当・見る曜日を書く:「見積の受注率=その月に受注した件数÷その月に出した見積の件数、元の表は顧客管理の表、担当は営業リーダー、毎週月曜の朝会で見る」のように1行で書きます。
目標の数字は、SMART(具体的か、測れるか、達成できるか、KGIとつながっているか、期限があるか)の5つで確かめます。とくに「測れるか」は、今ある表から数えられるかで判断します。数える表が無いKPIは、表を作るところから始めるか、別のKPIに替えます。
1つのKPIを何段にも分けて、全体を木の形に描く方法は「KPIツリーの作り方」の記事で手順とExcelの列見本を書いています。この記事では、木を描いたあとに週の会議で見る2〜3個を選ぶところまでを扱います。
部署ごとのKGIとKPIの組み合わせの例
同じ会社でも、部署によってKGIとKPIの組み合わせは変わります。以下はどれも説明用の仮想例で、目標の数字は自社の実績から決めます。
- 営業:KGIは今期の受注件数。KPIは月の商談件数と見積の受注率。
- マーケティング:KGIは問い合わせから生まれた商談の件数。KPIは月の問い合わせ件数と、問い合わせから商談になった割合。
- カスタマーサポート:KGIは契約の更新率。KPIは問い合わせへの初回の返信までの時間と、1回のやりとりで解決した割合。
- 経理:KGIは月次の決算を締める日。KPIは請求書の発行が締め日から何日目に終わったかと、入金の消し込みが終わっていない件数。
- 採用:KGIは期中の入社人数。KPIは月の応募件数と、面接から内定を出した割合。
どの部署でも、KPIのうち1つは「量」(件数)、もう1つは「質」(割合や時間)にすると、量だけを追って質が落ちる、という偏りに気づきやすくなります。
KPIが多すぎる・測れない・誰も見ないときの直し方
KPIを決めたのに数字が動かないときは、たいてい次の3つのどれかが起きています。今のKPIの一覧を見ながら、1つずつ当てはまるかを確かめます。
- KPIが多すぎる:週の会議で見る数字が10個を超えると、どれが悪くても「様子を見る」で終わります。KSFにつながらない数字は参考の数字として別の表に移し、会議で見るKPIを2〜3個に戻します。
- 測れない:「顧客満足度を上げる」のように数える方法が決まっていないKPIは、毎月違う数え方になります。何の表のどの列を、どの期間で数えるかを1行で書けないKPIは、書ける数字に置き換えます。
- 誰も見ない:担当と見る曜日が決まっていないKPIは、月末にまとめて数えるだけになります。KPIごとに担当を1人決め、週の会議の最初の5分で担当が数字と翌週の行動を言う、という順番にします。
- KGIとつながっていない:KPIが全部達成できたのにKGIが届かないときは、KSFの選び方がずれています。手順2の掛け算に戻り、どの要素が伸びていないかを見直します。
- 部署ごとに数え方が違う:同じ「受注件数」でも、営業は契約書を受け取った日、経理は請求した日で数えると、会議の数字が合いません。数え方のずれの直し方は「KPI定義がズレるとは」の記事で書いています。
今のKPIの一覧をそのまま送っていただければ、3つの失敗のどれに当たるかに印を付けてお返しします。最初の一歩として、どの数字から整えるかをTOC分析で決めることもできます。
- 今のKPIの一覧を送って、残す2〜3個を一緒に選ぶ → TOC分析 5万円(2時間)では、KGIと今のKPIを持ってきていただき、2時間で週の会議で見る2〜3個と、その担当を決めます
- KPI定義がズレるとは →
KPIを週の会議で見る形にする
KPIは、決めた日から毎週同じ形で見えるようにして初めて行動につながります。表やダッシュボードを作る前に、次の3つを決めます。
- 見る場所:KPIを表示する表かダッシュボードを1つに決め、会議ではその画面だけを開きます。担当がそれぞれ自分のExcelで数えて持ち寄ると、数字の出どころが毎回違います。
- 並べ方:KGIを一番上に、その下にKPIを2〜3個、それぞれ今週の値・先週の値・目標の値を並べます。
- 話す順番:担当が「今週の値」「先週との差」「来週やること」を1人1分で言います。KGIは月に1回、期の残りの週数と一緒に確かめます。
毎週の集計を手で作っていて時間がかかる場合は、元の表から自動で数える仕組みを考えます。ダッシュボードの作り方は「BIダッシュボードの作り方」の記事、毎週の集計の手間の減らし方は「週報の集計」の記事で書いています。
KPIの式と担当を、会社の指標台帳に1行ずつ残す
KPIの数え方が担当者のExcelの中や、生成AIとのやりとりの中だけにあると、担当が替わった月から数え方が変わります。sento.groupでは、KPIを決めた日に、会社の共有フォルダに指標台帳を1枚作ってもらいます。
指標台帳の列は「指標名・KGIかKPIか・式・数える元の表と列・担当・見る曜日・決めた日・決めた人」の8つです。説明用の仮想例なら「見積の受注率・KPI・受注件数÷見積件数・顧客管理の表の『状態』列・営業リーダー・月曜・○月○日・営業部長」と1行で書きます。
生成AIに毎週の集計を頼むときは、この台帳の行をそのまま貼り付けて「この式で数えて」と頼みます。担当が替わっても、同じ台帳の行を使えば同じ数え方で数字が出ます。式を変えたときは、台帳の行を直してから集計を頼みます。
よくある質問
Q. KGIとKPIはどちらを先に決めますか?
KGIを先に決めます。KGIが決まっていないままKPIを選ぶと、測りやすい数字や今ある数字が並び、最後の結果につながらないKPIが混ざります。KGIを1つ決めてから、そこへ届く方針(KSF)とKPIの順に決めます。
Q. KPIはいくつ置けばよいですか?
KGI1つに対して2〜3個にします。週の会議で、担当が1人1分で話せる数です。それ以上の数字を見たい場合は、参考の数字として別の表に置き、会議では扱いません。
Q. KSFとKFS、CSFは違うものですか?
どれも、目標に届くために欠かせない要因を指す言葉で、ほぼ同じ意味で使われます。社内ではどれか1つの呼び方にそろえます。
Q. KGIとOKRはどう使い分けますか?
過去の実績から目標の数字を決められる既存の事業ではKGIとKPIを使い、実績が無い新しい事業や、チームの向きをそろえたい場面ではOKRを使う、という分け方が扱いやすくなります。同じ部署で両方を同時に回すと会議で見る数字が増えるので、どちらか一方にします。
Q. 数字を集める表が無い場合はどうしますか?
KPIに選んだ数字を数える表を先に作ります。たとえば商談件数なら、日付・顧客名・担当・状態の4列の表を1つ作り、営業全員がそこに入力します。表が整うまでは、手で数えられる1つのKPIだけで始めます。
今のKGIとKPIを3行書いて送り、KPIを2〜3個に絞る相談をする
今のKGIと、会議で見ているKPIを書いて送ってください。KGIとつながっていない数字、数えられない数字、担当のいない数字に印を付けてお返しします。週の会議で見る2〜3個と担当まで一気に決めたい場合は、TOC分析 5万円(2時間)で一緒に決めます。