CONCEPT — WHAT DATABASE-KA MEANS
データベース化とは:Excelの表との違い、できるようになること、始める前に決める4つと移し先の選び方
データベース化とは、部署や担当ごとにばらばらに書かれた表やメモを、1行に1件・列ごとに決まった型・1件ずつのID・決まった入力の入口を持つ表にそろえ、誰が開いても同じ条件で探す・数える・別の表とつなぐことができる状態にすることです。道具を買い替えることより先に、表の書き方の決まりを作ることが中心になります。
データベース化の意味と、データベースとの言葉の違い
データベースは、決まった形でためたデータの集まりと、それを探したり更新したりする仕組みを指す言葉です。データベース化は、今ある表や紙やメモを、そのデータベースの形にそろえていく作業を指します。
- 説明用の仮想例:営業は「顧客メモ.xlsx」、経理は「請求先一覧.xlsx」、展示会の担当は名刺のリストで、同じ取引先をそれぞれ書いています。会社名は「(株)山田商事」「山田商事株式会社」「ヤマダ商事」の3通りで、担当者の欄には2人の名前が1つのセルに入っています。
- この状態で「取引先ごとの今年の売上」を出そうとすると、3つの表を見比べて、同じ会社かどうかを人が判断しながら数えることになります。
- データベース化した後は、顧客の表に1社1行で顧客IDを付け、担当者の表と請求の表はその顧客IDで会社を指します。「取引先ごとの売上」は、顧客IDでまとめるだけで出せます。
データベース化で時間がかかるのは、どの列を残すか、会社名をどう書くか、誰がどこから入力するかを決めるところです。
今の表の列名をそのまま送っていただければ、どの順番でそろえるかをお返しします。
- 今の表の列名をそのまま送って、データベース化の順番を相談する → 「会社名・担当者・電話・メモ・最終訪問日」のように、表の1行目をそのまま書いて送ってください
Excelの表とデータベースの6つの違い
Excelでも表は作れますが、多くの会社のExcelは「人が見て読む表」として作られています。データベースは「仕組みが読んで探す・数える表」として作ります。次の6つの観点で違いが出ます。
- 1行の意味:Excelでは、1つの取引先に複数の行を使ったり、見出しの行や小計の行が途中に入ったりします。データベースでは、1行が必ず1件(1社、1件の注文、1人の担当者)を表します。
- 列の型:Excelのセルには、日付の列に「4月1日」「2026/4/1」「未定」が混ざって入れられます。データベースでは、列ごとに日付・数値・文字・選択肢などの型を決め、型に合わない値は入りません。
- ID:Excelでは会社名そのものを見分けに使うことが多く、書き方が違えば別の会社として数えられます。データベースでは、1件ずつにIDを付け、ほかの表からはIDで指します。
- 表どうしのつながり:Excelでは、担当者が増えると列を「担当者1」「担当者2」と横に足していきます。データベースでは、担当者を別の表にして、顧客IDで顧客の表とつなぎます。
- 同時に入力する人と権限:データベースは、複数の人が同時に入力することと、見てよい列・直してよい列を人ごとに分けることを前提に作られています。
- 件数:Excelの1つのワークシートに入る行数は最大1,048,576行です。データベースは、それより多い件数や、年ごとに増え続ける履歴をためることを前提にしています。
違いの多くは道具の違いより、書き方の決まりの違いです。6つのうち、1行の意味・列の型・IDの3つは、Excelやスプレッドシートのままでもそろえられます。
データベース化でできるようになること
4つの決まりがそろった表になると、毎月手で作っていた作業のいくつかが、条件を指定するだけで終わるようになります。説明用の仮想例の顧客の表なら、次のようなことができます。
- 探す:顧客IDや会社名で1社を探すと、その会社の担当者・見積・請求がすべて出てきます。
- 数える:「今月登録した顧客の数」「業種ごとの取引先の数」を、条件を選ぶだけで数えられます。会議の前に3つの表を見比べて数える作業がなくなります。
- つなぐ:請求の表を顧客IDで顧客の表とつなぐと、取引先ごとの売上や、半年以上注文の無い取引先の一覧が出せます。
- 履歴を残す:誰がいつどの値を直したかを記録しておけるので、値が変わった理由を後から確かめられます。
- ほかの仕組みに渡す:問い合わせのフォーム、会計ソフト、BIツールなどと、IDをそろえて受け渡しできます。生成AIに集計や下書きを頼むときも、列の意味が決まった表を渡せば、同じ条件で何度でも同じ答えが返ってきます。
顧客の情報を部署ごとの表から1か所にまとめる考え方は「一元管理とは」の記事、BIツールで数字を見る仕組みは「BIツールとは」の記事で書いています。
始める前に決める4つのこと:1行1件・列の型・ID・入力の入口
データベース化の道具を選ぶ前に、紙に次の4つを書き出します。ここが決まれば、どの道具に移しても表の形は同じになります。
- 1行1件:その表の1行が何を表すかを1文で書きます。「顧客の表の1行は1社」「担当者の表の1行は1人」のように決めます。1社に担当者が何人もいる、のように1対多になるものは、別の表に分けます。
- 列の型:列ごとに、日付・数値・文字・選択肢・はい/いいえのどれかを決めます。業種や状態のように書き方が揺れやすい列は、選択肢にして選んでもらいます。メモの列に日付や状況を書き込んでいるなら、「最終訪問日」「状況」のように列を分けます。
- ID:1件ずつに、ほかと重ならない番号を付けます。「C-0001」のように、意味を持たせない連番にします。会社名や電話番号をIDの代わりにすると、社名が変わったときや番号が変わったときに、つながりが切れます。
- 入力の入口:新しい1件を誰が、どの画面やフォームから入れるかを1つに決めます。営業がExcelに、経理が会計ソフトに、それぞれ同じ顧客を入れていると、入口の数だけ書き方が分かれます。
4つを決めたら、今ある表の行を新しい形に移す前に、同じ会社を1行にまとめる作業(名寄せ)と、書き方の揺れを直す作業(データクレンジング)を行います。Excelの表を実際に1行1件・IDの列・別表に直していく手順は「Excelのデータベース化」の記事で、画面の操作と一緒に書いています。
移し先の選び方:スプレッドシート・ノーコードDB・本格的なデータベース
4つの決まりができたら、表をどこに置くかを決めます。同時に入力する人の数、扱う件数、ほかのシステムとつなぐかの3つで選びます。
- スプレッドシートのまま整える:入力する人が数人で、件数が数千件までなら、ExcelやGoogleスプレッドシートのまま4つの決まりをそろえるだけで足ります。入力規則で選択肢を作り、IDの列と担当者の表を別のシートに分けます。費用が増えず、今の担当者がそのまま使えます。
- kintoneなどのノーコードDB:入力する人が部署をまたいで増える、人ごとに見てよい項目を分けたい、入力のたびに承認を通したい、という場合に向きます。画面上で入力欄と選択肢を作れ、アプリどうしをIDでつなげます。月額の利用料と、アプリを作る担当の時間がかかります。
- 本格的なデータベース:件数が多い、ほかの複数のシステムと自動でデータを受け渡す、細かい集計を毎日回す、という場合は、クラウドのデータベースやデータウェアハウスに置き、入力画面や集計の仕組みを別に作ります。作る費用と保守の担当が必要になります。
3つは順番に進めることもできます。最初はスプレッドシートで4つの決まりを守る運用を始め、入力する人や件数が増えたところでノーコードDBへ移すと、移すときに列の決まりをそのまま使えます。
スプレッドシートを台帳として使う方法は「スプレッドシートのデータベース化」の記事、kintoneでできることとExcelとの使い分けは「kintoneとは」の記事、Excelから移す先の選び方は「脱エクセル」の記事で書いています。
データベース化でよくある4つのつまずき
データベース化は、道具を入れた後で止まることがよくあります。次の4つは、始める前に決める4つのことのどれかが抜けたときに起きます。
- 今の列を全部そのまま移す:使っていない列や、人によって使い方の違う列まで移すと、新しい表でも入力の仕方がそろいません。移す前に、列ごとに「誰が何に使っているか」を聞き、答えの無い列は移しません。
- メモの列に頼る:「備考」の列に、日付・金額・状況が文章で書かれていると、データベースに移しても数えられません。よく書かれている内容を列に分けます。
- 名寄せをしないまま移す:同じ会社が3行あるまま移すと、IDも3つ付き、売上が3つに割れて数えられます。
- 入力の入口が2つ残る:新しい表を作ったあとも、元のExcelに入力し続ける人がいると、2つの表の中身がずれていきます。移した日に元のExcelを読み取り専用にし、入口を1つにします。
今の表の列名と、それぞれの列を誰が入力しているかを書いて送っていただければ、4つのつまずきのどれが起きそうかに印を付けてお返しします。最初の一歩として、どの表からデータベース化するかをTOC分析で決めることもできます。
- 今の表の列名を送って、データベース化の順番を相談する → TOC分析 5万円(2時間)では、今使っている表を2〜3個持ってきていただき、2時間で最初にそろえる表と4つの決まりを決めます
列の決まりを「列の定義表」にして、共有フォルダに置く
どの列にどんな値を入れるかが、表を作った人の頭の中だけにあると、担当が替わったときに新しい書き方の行が混ざり始めます。sento.groupでは、データベース化する表を1つ決めた日に、その表の「列の定義表」を作ってもらいます。
列の定義表は、データベースにする表の列を1行ずつ書いた表で、列は「列名・型・必須かどうか・選択肢・入力の例・誰が入力するか・決めた日」の7つです。説明用の仮想例なら「業種・選択肢・必須・卸売/製造/小売/その他・卸売・営業・○月○日」と書きます。この表を、データベースにする表と同じ共有フォルダに置きます。
生成AIに表の集計や、名寄せの候補出しを頼むときは、列の定義表を一緒に渡します。「業種の列は4つの選択肢のどれか」「顧客IDはC-から始まる連番」と書いた表があれば、AIは列の意味を推測せずに作業できます。新しい列を足すときは、表に列を足す前に、定義表に1行足します。
よくある質問
Q. データベース化とデジタル化は何が違いますか?
デジタル化は、紙の情報をパソコンで扱える形にすることを広く指します。紙の名刺をスキャンして画像にするのもデジタル化です。データベース化は、そのデータを1行1件・列の型・IDのそろった表にして、探す・数える・つなぐができる状態にすることを指します。
Q. Excelのままでもデータベース化はできますか?
できます。1行1件・列の型・IDの列・入力の入口の4つを決め、入力規則で選択肢を作り、1対多になるものを別のシートに分ければ、Excelやスプレッドシートでもデータベースとして使えます。同時に入力する人や件数が増えたら、ノーコードDBなどに移すことを考えます。
Q. データベース化には、どれくらいの期間がかかりますか?
表の数と、名寄せが必要な行の数で変わります。1つの表について、4つの決まりを決める、名寄せとクレンジングをする、新しい表に移して入力の入口を1つにする、という3つの段取りで進めると、どこまで終わったかが分かります。
Q. 紙の台帳もデータベース化できますか?
できます。紙の台帳の1行が何を表すかを決め、列の型とIDを決めてから、Excelやノーコードの入力フォームに書き写します。書き写す前に、今後の新しい1件をどこから入力するかを決めておくと、紙と表の二重の記録が続かずに済みます。
Q. データベースの種類は何を選べばよいですか?
顧客・注文・在庫のように表の形で扱える業務データには、表どうしをIDでつなぐリレーショナルデータベースの考え方が合います。kintoneなどのノーコードDBも、画面の作りは違っても、表をIDでつなぐ点は同じです。
今の表の列名をそのまま送って、データベース化の順番を相談する
今使っている表の1行目(列名)と、その表を誰が入力しているかを書いて送ってください。4つの決まりのうちどれから決めるか、スプレッドシートのままでよいか移し先が要るかをお返しします。複数の表のどれから手を付けるかを一度に決めたい場合は、TOC分析 5万円(2時間)で一緒に決めます。