CONCEPT — 5S
5Sとは:整理・整頓・清掃・清潔・躾の判定表と、最初の1週間の手順
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つの言葉の頭文字のSを取った呼び名で、職場にある物の置き方と、それを保つ習慣を順に整える活動のことです。工場の言葉として知られていますが、事務所の棚、倉庫の通路、共有フォルダのファイルにも同じ順番で使えます。要らない物を手放し、残した物の置き場を決めると、探し物に使っていた時間が作業に戻ります。この記事では、各Sで何を決めればよいかを判定表にし、事務所・倉庫・データの置き場で始める最初の1週間の手順まで書きます。
5Sの5つの言葉の意味
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の用語解説は、5つの言葉を次の意味で説明しています(文は要約です)。ここでは、その意味を職場でやる動作に置き換えて書きます。
- 整理(せいり):要る物と要らない物を分けて、要らない物を取り除きます。職場でやる動作は、棚や引き出しの中身を全部出して、残すか手放すかを1つずつ決めることです。
- 整頓(せいとん):決めた場所に決めた量の物を置き、すぐ取り出せるようにします。動作は、残した物ごとに置き場を決め、棚と箱にラベルを貼ることです。
- 清掃(せいそう):ごみやほこりを取り除きます。動作は、掃除する場所と当番を決め、掃除しながら機械や棚の傷み・汚れの出どころを見つけることです。
- 清潔(せいけつ):整理・整頓・清掃の状態を保ち、働く人の身の回りも清潔に保ちます。動作は、置き場と掃除の決まりを紙1枚に書いて、その場所に掲示することです。
- 躾(しつけ):決めたことを必ず守るように指導します。動作は、決まりが守れているかを決まった曜日に見て回り、守れていない場所を直すことです。
5つの言葉をローマ字で書くと、Seiri・Seiton・Seiso・Seiketsu・Shitsuke と、どれもSで始まります。これが5Sという名前の由来です。躾は「しつけ」とかなで書く職場も、「習慣」「習慣化」と言い換える職場もあります。日本産業規格の生産管理用語(JIS Z 8141)も5Sを定義しており、2022年の改正で、しつけの説明が決めたことを守るだけの書き方から、守って習慣付ける書き方に変わったと、一創の解説ページが紹介しています。
職場で最初に手を付ける場所を1つ書いて送ってください。その場所に合わせた5Sの判定表を作ってお返しします。
- 職場で最初に手を付ける場所を1つ書いて、5Sの判定表を作る → 例:「事務所の入口の書類棚」「倉庫の出荷場の手前の棚」「営業部の共有フォルダ」
- ヒヤリハットとは →
各Sの判定表:何を見て、何を決めるか
5Sを始めると、「これは要るのか」「どこに置くのか」で手が止まります。止まらないように、各Sで見ることと決めることを先に表にしておきます。説明用の仮想例として、事務所の書類棚で使う判定表の行を並べます。
- 整理の行:見るのは「最後に使った日」です。1年使っていない物は手放す、3か月以内に使った物は残す、その間の物は保留の箱に入れて1か月後にもう一度決める、と基準を数字で書きます。
- 整頓の行:見るのは「使う人と使う回数」です。毎日使う物は手の届く高さ、月に1回の物は上の段、年に1回の物は倉庫、と置き場を決め、棚の段と箱に同じ名前のラベルを貼ります。
- 清掃の行:見るのは「汚れる場所と頻度」です。掃除する場所・道具・当番・曜日を1行ずつ書きます。掃除中に見つけた傷みや汚れの出どころは、同じ表の備考に書きます。
- 清潔の行:見るのは「決まりが紙になっているか」です。整頓で決めた置き場の写真と、掃除当番の表を1枚にまとめ、その棚の横に貼ります。
- 躾の行:見るのは「決まりどおりか」です。週1回、決まった人が棚を見て、ラベルと違う場所にある物の数を表に書きます。数が減らない棚は、置き場の決め方を見直します。
判定表の基準は、職場の全員が同じ答えを出せる言葉で書きます。「古い物は捨てる」と書くと人によって答えが割れるので、「最後に使ってから1年」のように日付や回数で書きます。
3S・4Sとの関係と、赤札作戦・三定
5Sの前の3つ、後の1つを外した呼び方や、5Sを進めるときによく使う手法があります。
- 3S:整理・整頓・清掃の3つです。物の置き場を整える部分だけを指します。まず3Sから始め、定着したら清潔と躾を足す職場もあります。
- 4S:整理・整頓・清掃・清潔の4つです。職場のあんぜんサイトの用語解説は4Sを見出しにして、しつけを加えた5Sも広まっていると説明しています。
- 6S・7S:安全や作法などを足して、会社ごとに独自に名前を付けている形です。足す言葉に決まった型はないので、社内で使う前に中身をそろえます。
- 赤札作戦:要るか要らないか迷う物に赤い札を貼り、期限までに使われなかったら手放す、と決める進め方です。整理で手が止まる物に使います。
- 三定:定位(決まった場所に)・定品(決まった物を)・定量(決まった量だけ)置くことです。整頓のラベルに、場所と物の名前と、置いてよい数を書くと、三定がそのまま表示になります。
事務所・倉庫・データの置き場で始める最初の1週間
5Sは、職場全体を一度に始めると途中で止まります。最初の1週間は場所を1つに絞り、整理と整頓を終わらせることだけを目標にします。説明用の仮想例として、3つの職場での1週間を並べます。
- 事務所の書類棚:月曜に棚の中身を全部机に出します。火曜に判定表の整理の基準で、残す・手放す・保留に分けます。水曜に残した物の置き場を決め、木曜にラベルを貼ります。金曜に棚の写真を撮って、棚の横に貼ります。
- 倉庫の出荷場の手前の棚:月曜に棚と通路にある物を全部書き出します。火曜に、出荷で使っていない物に赤札を貼ります。水曜に、よく出る商品を腰の高さに移します。木曜に、通路に物を置かない線を床に引きます。金曜に、出荷担当に新しい置き場を説明します。
- 共有フォルダ(データの置き場):月曜に、フォルダの中のファイルを更新日の古い順に並べます。火曜に、1年以上開かれていないファイルを「保留」フォルダに移します。水曜に、残したファイルのフォルダ名を「年度_部署_用途」の形にそろえます。木曜に、ファイル名の付け方を1行で決め、フォルダの一番上に置きます。金曜に、部署の全員に新しい場所を知らせます。
データの置き場の5Sでは、ファイルを手放す前に、保存の期限が決まっている書類(契約書・請求書など)でないかを確かめます。期限がある書類は保留にせず、決まった保存用のフォルダに移します。
最初の1週間の手順を自分の職場に合わせたい方は、手を付ける場所と、その場所を使っている人数を書いて送ってください。曜日ごとの手順と判定表をお返しします。2時間で業務の詰まりを見つける入口の診断として、TOC分析 5万円(2時間)も選べます。
- 手を付ける場所と使っている人数を書いて、最初の1週間の手順を相談する → 例:「倉庫の出荷場の手前の棚。使うのはパート4名と社員1名」
- ファイル名・フォルダ構成のルール →
- データの一元管理とは →
5Sが続かない理由と、続ける仕組み
5Sは、最初の1週間で棚がきれいになっても、数か月で元に戻ることがよくあります。戻る理由は、だいたい次の3つです。
- 置き場が使う人に合っていない:整頓のときに、使う人に聞かずに置き場を決めると、使う人は元の場所に戻します。置き場は、その物を毎日使う人と一緒に決めます。
- 見て回る人と曜日が決まっていない:躾の確認が「気づいた人がやる」になると、誰もやらなくなります。週1回、曜日と担当を決めて、確認の結果を表に書きます。
- 決まりが増えすぎる:棚ごとに細かい決まりを作ると、覚えきれずに守られなくなります。1つの場所の決まりは、掲示の紙1枚に収まる数にします。
物の置き方が原因のヒヤリハットが報告された場所は、5Sを始める場所の候補になります。ヒヤリの台帳の場所の列と、5Sの判定表の場所を同じ名前にしておくと、どの場所から手を付けるかを件数で決められます。
判定の結果を個人のPCに閉じず、写真付きで共有フォルダに残す
5Sの判定や置き場の決定は、進めた人のメモやスマホの写真にだけ残りがちです。担当が替わると、なぜその置き場にしたのかが分からなくなり、棚が元に戻ります。sento.groupでは、判定の結果を、写真付きで会社の共有フォルダに残してもらいます。
説明用の仮想例として、共有フォルダに「5S」というフォルダを作り、場所ごとに1つのフォルダを置きます。中には、始める前の写真、整頓が終わった後の写真、判定表、掲示した決まりの紙の4つを入れます。写真のファイル名は「日付_場所_前」「日付_場所_後」にそろえます。毎週の躾の確認では、同じ位置から撮った写真を足していくと、元に戻り始めた場所が写真を並べるだけで分かります。
生成AIに判定表の下書きを作らせる場合は、場所の名前・置いてある物の一覧・使う人数を渡し、出力の形を判定表の5行に決めて頼みます。下書きの基準(最後に使った日など)は、その場所を毎日使う人が確かめてから掲示します。
最初の一歩として、sento.groupのTOC分析 5万円(2時間)では、手を付けたい場所の写真を数枚か、共有フォルダの一覧を持ってきてもらいます。2時間で、最初に5Sを始める場所と判定表の基準を決めます。
よくある質問
Q. 5Sの5つは何の頭文字ですか?
整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seiso)・清潔(Seiketsu)・躾(Shitsuke)を、ローマ字で書いたときの頭文字です。どれもSで始まるので5Sと呼びます。
Q. 整理と整頓はどう違いますか?
整理は要る物と要らない物を分けて、要らない物を手放すことです。整頓は残した物の置き場を決めて、すぐ取り出せるようにすることです。整理を先にすると、置き場を決める物が減ります。
Q. 躾は「しつけ」と「習慣」のどちらで書けばよいですか?
どちらでも意味は同じで、決めた決まりを守る習慣を付けることです。漢字の躾が読みにくい職場では、かなの「しつけ」や「習慣」と書く例もあります。社内の掲示では1つの書き方にそろえます。
Q. 事務所でも5Sは使えますか?
使えます。書類棚・文房具の引き出し・共有フォルダのファイルが、5Sを始めやすい場所です。共有フォルダでは、更新日の古いファイルを整理し、フォルダ名とファイル名の付け方を決めることが整頓に当たります。
Q. 5Sはどこから始めればよいですか?
毎日使う人が多く、探し物やヒヤリが起きている場所を1つ選びます。最初の1週間はその場所の整理と整頓だけを終わらせ、清掃・清潔・躾は2週目から足します。
職場で最初に手を付ける場所を1つ書いて、5Sの判定表を作る
職場で最初に5Sを始めたい場所を1つ書いて送ってください。その場所に合わせた判定表と、最初の1週間の手順をお返しします。最初の一歩として、2時間で業務の詰まりを見つける入口の診断、TOC分析 5万円(2時間)も選べます。